東京マラソンに出場したランナーが都内を走り抜けた6日、東京・ロシア大使館(港区)の周辺の交差点は折りたたみ式バリケードが設置され、約200人の警察官が厳重警備していた。

レモン色のパーカにブルージーンズのウクライナ色で統一した服装のロシア人男性ドミトリー・グズデツォフさん(65)は「STOP PUTLER」の自作看板を掲げて大使館前に立っていた。来日して18年。都内の大学で物理学の教授をしていたが、現在は定年退職をして、母国ロシアのウクライナへの武力侵攻に胸を痛めている。

自作看板の「PUTLER」はプーチン大統領と戦時下ドイツ指導者ヒトラーを合わせた造語で「若いころのヒトラーは優秀な画家で才能もあった。でも権力を手にして変ぼうしてしまった」と前置きし「私はロシア国民だがプーチンにはいいところが見当たらない。権力を握ったヒトラーのようだ」と落胆した声で絞り出すように話した。

2014年、ロシアがウクライナ領土のクリミア半島に武力侵攻して併合した際も同じようにロシア大使館前で1人で抗議活動をしたという。「支持できないことは支持できない。ロシア国民でも武力侵攻はいいことではないことぐらい分かる」として「せめて、大使館で働いている職員にいけないことであると訴えたくて自作で看板をつくって駆け付けた」と話した。