ロシアによる侵攻を受けているウクライナのゼレンスキー大統領の妻オレナ夫人(44)が8日、「ロシアは子供を含む民間人を大量虐殺している」とグローバルメディアに訴える公開書簡をフェイスブックに投稿し、北大西洋条約機構(NATO)に飛行禁止区域の設定を求めた。

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オレナ夫人は、ウクライナの人々は2月24日にロシアの侵攻の発表で目覚めたと述べ、「戦車がウクライナの国境を越え、飛行機が領空に入り、ミサイル発射装置が私たちの都市を取り囲みました」とつづっている。

6日に更新したインスタグラムでも、ウクライナではすでに少なくても38人の子供が亡くなっていると投稿していた夫人は、ロシアが「民間人と戦争を行っていない」と述べていることに対し、殺害された子供たちの名前をあげて非難。

祖父が路上で守ろうとする中で殺害された少女や、火災で救急車が到着できなかったためがれきによる頭部の負傷で亡くなった少年、両親とともに砲弾で亡くなった子供など、ロシアの攻撃によって命を落とした子供たちの死を嘆き、「信じられない」と惨状を訴えた。

「民間人を攻撃していないと言うロシアの人々に、彼らの写真を見せて下さい。成長する機会さえ与えられなかった子供たちの顔を見せて下さい」と、プロパガンダを広めているロシアを批判。医薬品の不足や病気の人たちが適切な治療を受けられず苦しむ現状も訴え、「空を閉じて」とNATOに呼びかけた。

オレナ夫人はこれまでも、攻撃を受ける中で頑張る女性たちの勇気をたたえるメッセージを投稿するなどSNSで情報発信を続けているが、ロシアの侵攻後も首都キエフにとどまって戦う大統領とともに特殊部隊の暗殺標的リストのトップに名を連ねていると伝えられている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)