自民党の故安倍晋三元首相が派閥会長の安倍派(清和政策研究会)は21日、党本部で安倍氏の死去から初の総会を開催し、冒頭で安倍氏の妻昭恵さんが安倍氏死去に伴う衆院山口4区補選には出馬しない意向を派閥幹部に伝えた。昭恵夫人は「私は補選には出ません。後継者についてはまだ分かりません。これからもご指導をお願いします」と述べたという。同補選は来年4月にも実施が予想されている。衆院小選挙区定数の「10増10減」で山口は定数1減の対象となっているが補選は現行の区割りのまま定数4で行われる。

冒頭で昭恵夫人から「(安倍氏は)会長としてやりたいことがたくさんあった。それをぜひ引き継いでほしい」とあいさつがあり、安倍派は当面は会長空席のまま、現体制を維持して派閥名称も変更しないことを正式決定した。

派閥の会長代理は塩谷立元総務会長と、下村博文前政調会長の2人体制で務める。塩谷氏は「いろいろとマスコミで集団指導体制とか出ましたが、新しい体制にするのではなく、しっかり引き継ぐ」と述べた。9月27日に見込まれている安倍氏の国葬後、改めて派閥の在り方などについて検討を行うとしている。

安倍氏という扇の要を欠き、派閥内の抗争に発展することを避けるため、現状維持で対処する方針を打ち出したが、9月上旬にも内閣改造、党役員人事が想定されている。最大派閥の結束を、どこまで維持できるかは不透明だ。