日本棋院は13日、同院の囲碁棋士養成機関「院生」の柳原咲輝(さき)さん(11)を女流特別採用推薦棋士として採用すると発表した。来年1月から初段として公式戦に参加でき、現役の女流最年少棋士としてプロデビューする。今月、関西棋院から9歳4カ月の世界最年少でプロになった藤田怜央初段に次ぐ、年少棋士の誕生だ。

柳原さんは今年1月まで、採用1人の女流特別採用棋士採用試験で張心治初段(12)に敗れ、プロ入りを逃した。8月には第37回ワールドユース囲碁選手権年少の部で準優勝。これらの実績が評価され、院生と院生経験者対象の女流特別採用推薦棋士に推薦された。

現在は都内にある洪清泉四段(40)の道場で修業する。藤沢里菜女流本因坊(23)や一力遼棋聖(25)、現在名人戦に挑戦中の芝野虎丸九段(22)らと学ぶ。

会見に出席した柳原さんは、「仲邑菫二段のライバルになれるよう頑張ります。里菜先生とも打ってみたいです」と目を輝かせた。「できるところまで頑張りたいです。世界で戦える棋士になりたいです」と抱負も語った。師匠の洪四段は、「時間さえあれば碁盤に向かっている。まじめさが盤上に表現されている。攻撃力が加われば、タイトルを獲得できるだけの力はある。近い将来、仲邑さんとタイトル争いをします」と評する。

この推薦制度、3年前から始まった。本年度まで計13人が採用され、このうち10人は女流棋戦などで挑戦者を争う本戦やリーグに入り、タイトル争いに加わっている。3年前、小学生対象の英才特別採用棋士制度でプロになった仲邑も、今年4月に女流名人戦挑戦者になった。柳原さんも活躍が期待される。【赤塚辰浩】

<女流囲碁のプロ入り年少記録>

(1)仲邑菫(なかむら・すみれ)10歳0カ月

(2)藤沢里菜(ふじさわ・りな)11歳6カ月

(3)張心治(ちょう・こはる)12歳4カ月

(4)柳原咲輝(やなぎはら・さき)12歳5カ月

※柳原さんは来年4月採用時の年齢

◆柳原咲輝(やなぎはら・さき)2010年(平22)10月6日生まれ、東京都出身。3歳で両親から囲碁を学ぶ。20年7月に日本棋院の棋士養成機関「院生」に。22年1月、女流特別採用棋士試験は次点。8月の第37回ワールドユース選手権の年少の部準優勝。女流特別採用推薦棋士として、来年1月から公式戦に参加可能。好きな食べ物は、おすしとラーメン。趣味は昨年、東京五輪を見て始めた卓球と、「名探偵コナン」を読むこと。