東京都立大の南大沢キャンパス(東京都八王子市)で、同大教授の社会学者宮台真司さん(63)が11月29日、何者かに襲われて首を切られ重傷を負った事件で、宮台さんが首以外にも後頭部や背中、ひざなど複数の部分を切り付けられていたことが同30日、関係者への取材で分かった。後頭部の傷は約7~8センチに及び、一部には深く切り付けられた部分もみられたという。

宮台さんの両手には、男に抵抗した際にできたとみられる防御創も多数あったという。宮台さんは全治約1カ月。命に別状はない。

男は逃走を続けており、警視庁は、男が宮台さんを執拗(しつよう)に襲った可能性があるとみて、殺人未遂容疑で行方を追うとともに、事件の背景を調べている。

一方、宮台さんは当時、講義を終えた直後で、建物から外に出て歩いていた時に背後から襲われていたことも、捜査関係者への調べで分かった。講義終了は29日午後4時10分ごろで、襲われたのは同17分ごろという。警視庁は、男が宮台さんの予定を事前に把握し、待ち伏せた可能性もあるとみている。宮台さんは犯人について「暗がりだったので、分からない」と話しているという。

襲った男は20~30代とみられ、身長約180センチのがっちりした体格で、髪は短め。黒っぽいジャンパー、ズボン姿だったという。

宮台さんは襲われた後、病院に搬送され、約4時間、傷の縫合などの手術を受けた。3日には、親交があるジャーナリスト神保哲生氏とのトークライブに出演する予定になっていた。

都立大は30日、通常通り講義が行われた。出入り口には職員が配置されるなど、警戒が強化された。