2030年の冬季五輪・パラリンピック招致の是非が大きな争点となっている札幌市長選挙は9日、投開票が行われ、現職の秋元克広氏(67)が、NPO法人理事の新人木幡秀男氏(62)、元市局長の新人高野馨氏(64)を破り3選を果たした。

札幌市内の後援会事務所に投票締め切り直後の午後8時過ぎ、当選確実の一報が伝えられた。約10分後に秋元氏が事務所に姿をみせ集まった支持者から大きな拍手を受けた。「まずは直近の課題である物価高騰、市民のみなさまの生活、中小企業のみなさんの経営環境も厳しくなっていますので、そういった課題に取り組みながら、少子化対策、共生社会の実現を着実に進めていきたい」と力を込めた。

札幌市が推進してきた冬季五輪招致についてはこのように口にした。「今回争点の1つというふうに言われましたけれども、東京大会でのいろいろな出来事、これらを検証してクリーンな大会を札幌として目指していく、あらためて市民の皆さまにお示しをした上で協議、議論を継続していきたい。最終的には市民の皆さんのご意向を確認して進めていきたい、こういうことを公約として掲げてきたので、そういうプロセスで進めていきたいと思っている」と今後も前向きに招致活動を続けていく構えだ。

21年の東京五輪を巡る汚職・談合事件の影響もあり五輪開催へ市民の疑念が払拭されたとは言いがたい部分はある。「オリンピックが札幌にとって必要かどうかという是非の問題と、東京大会でのさまざまな問題、これがやはり市民のみなさんのオリンピックに対する不信感かと思う。東京大会での問題をクリアにして、その上で札幌に必要な事業なのか、北海道にとって必要なのか冷静に議論をしていく必要があるのではないかと思う」と話した。

プロ野球日本ハムが北広島市に本拠地を移転したことによる札幌ドームの収益面に関しては「サッカーやラグビー、人数の少ないコンサートなどで収益をある程度確保していくということと、元々全天候型の多目的施設でありますので、市民の財産ですから、市民の方に活用していただけるように取り組んでいきたい」とビジョンを描いた。【山崎純一】