元衆院議員で弁護士の菅野志桜里氏は31日、テレビ朝日系の朝の情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」に出演し、親族を招いた首相公邸での忘年会を「週刊文春」に報じられ、6月1日付で事実上更迭される岸田文雄首相の長男、岸田翔太郎首相秘書官(32)の問題についてコメントした。

翔太郎氏をめぐっては、岸田首相が自身の後継者に見すえる息子に経験を積ませるため、秘書官に就けたとの見方が強い。そのため、自民党で特に多い世襲政治の弊害が、あらためてクローズアップされる事態にもなっている。

菅野氏は「政治家がファミリービジネスになってしまっているから、一般人であればおそらく秘書官になり得なかった人が、なってしまっている。秘書官という公的な立場を息子のキャリアの一里塚に利用して、後継指名につなげようとしていることは見えていた」と指摘。その上で「社会的に十分批判的に見てきたのか、そんなものだろうと許容した部分もあったのではないか。私たちの社会の問題でもある」と、語った。

菅野氏は山尾姓で、2009年の初当選から衆院議員をのべ10年務め、2021年10月の衆院選に出馬せず国会議員としての活動を終えた。自身の議員時代を「非世襲で落下傘候補だった。3バン(地盤、看板、かばん)といわれるが(世襲候補は)世襲をしただけで3バンがパッケージで即、来る。そうでなければ1つ1つを、別行動で自分でつくりあげていく。その作業に私は5年かかった」と、振り返った。「世襲はスタートダッシュできるからずるいではなく、誰もがスタートダッシュできる、1期目から国会での仕事ができる状況をつくることが大事」と訴えた。

また「社会人経験や専門性が乏しいまま政治家になることが、世襲の方は多い。(その結果)辞められない議員になっていく。ほかのことができないからだけではなく、親からのバトンを自分も継がないといけないから、年齢がいくまで辞められない。辞められない議員の増加のデメリットは、政治をよくしない」とも指摘した。

菅野氏は、世襲に関して「世襲が圧倒的に有利な状況は変えた方がいい」と提案。「世襲でも非世襲でも現職でも新人でも、しっかり公募や予備選をやる。一定の透明性をもって候補者を選ぶ。世襲は基本的にはプラスになりやすいと思う。実力のある世襲の方なら、しっかりなれると思う」として、独自の案も示した。「世襲が悪いというより、世襲が選挙に有利なシステムを変えていくことにつなげられるかが問われている」とも述べた。