米国のトランプ前大統領が8日、機密文書を持ち出して私邸に保管していたことを巡り、新たに起訴されたことが分かった。トランプ氏が刑事訴追されるのは、不倫関係にあったポルノ女優への口止め料の支払いを巡って今年3月末に米ニューヨーク州でビジネス記録の改ざんなどで起訴されたのに続いて2度目となる。

トランプ氏は、自身が立ち上げたSNS「トゥルース・ソーシャル」で、今年2月にバイデン米大統領の機密文書の扱いを巡る捜査で出身校デラウェア大学が捜索を受けていたことを引き合いに、「ジョー・バイデンは1850個の機密文書が入った箱をデラウェア大学に保管しているにも関わらず、腐敗したバイデン政権から私が起訴されたと弁護士に通告があった」と投稿。でっちあげだとの認識を示した。13日にマイアミの連邦裁判所への出廷を命じられたとしている。

トランプ氏は、「現職の大統領よりもはるかに多くの票を獲得し、現在は共和党と民主党両方の候補者をダントツでリードしている米大統領経験者にこのようなことが起こりえるとは考えもしなかった」とSNSで反論。「私は無実の人間だということを伝えたい。何も間違ったことをはしていない。7年間(大統領として)戦ってきたのと同じように、この問題を全力で戦い抜く」などと語る動画も投稿し、「私は無実の男だ!」「無実を証明する」と訴えた。

起訴されたと明かした直後には、支援者に向けて献金を呼びかけるメールも送信しているという。

米ニューヨーク・タイムズ紙は、機密文書の不法な保持、妨害、共謀など少なくとも7件の連邦罪に問われていると報じている。起訴により、トランプ氏が公職に就く資格を失うかどうかは不明で、トランプ陣営からコメントは出されていない。

文書にはイランへの攻撃の可能性について触れたものがあったとされているが、トランプ氏は「あらゆる文書の機密を解除した」と主張してた。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)