音楽の聖地、殿堂として多くの人気アーティストやファンに愛された複合文化施設「中野サンプラザ」(東京都中野区)が2日夜、閉館し、1973年(昭48)の開館から50年の歴史に幕を閉じた。

同施設をホームグラウンドとしたシンガー・ソングライター山下達郎(70)の公演が、ラストライブに。公演終了後のお別れセレモニーには、施設名にゆかりのあるサンプラザ中野くん(62)が、花束を手に登壇し「新しいサンプラザが開業するまで、サンプラザの名前は私が守ってまいります!」とあいさつ。建物の前には、夜遅くにもかかわらず、大勢のファンや地元の人が駆けつけ「ありがとう」「また来るよ」と口々に叫び、別れを惜しんだ。最後は、幹部や従業員らがロビーの階段に並んで「50年間、ありがとうございました」と、頭を下げた。

中野サンプラザは、JR中野駅前に建つ三角のビルの形が特徴的で、サブカルチャーの街として国内外に知られる中野のランドマーク的存在だった。東日本大震災発災時には帰宅困難者を建物内に受け入れ、新型コロナ禍では休館を余儀なくされるなど、社会の流れとともに歩んだ日々でもあったという。酒井直人区長は「50年のDNAをしっかり引き継ぎ、街づくりを区民の皆さんといっしょに進めたい」とあいさつした。

今後は、一帯の再開発に伴い建物は解体される。高さ約250メートルの高層タワーや最大7000人収容のホールやホテル、商業施設などを備えた新しい複合施設が、28年度に完成する見通しだ。【中山知子】