東京・明治神宮外苑再開発をめぐり、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス、本部パリ)の専門家や日本国内委員会の関係者らが15日、都内の日本記者クラブで記者会見し、東京都や事業者に対し、再開発の即時中止と内容の見直しを求めた。
イコモスは今月7日、再開発事業で今後進む大量の樹木伐採などを阻止するとして「ヘリテージ・アラート」を発令し、日本政府や東京都、事業者らに送付している。リモートで参加したイコモスのエリザベス・ブラベック国際学術委員会・文化的景観委員長は、「イコモスは、文化遺産の不可逆的な破壊とみている。開かれた空間が失われ、遺産である樹木が失われることは受け入れられない」と指摘。「世界的な気候変動を受けて、都市の開かれた空間を維持していくかという認識を重視している。将来世代のため、再開発にかかわるすべての責任者に、ただちに中止することを呼びかけたい」と述べた。
公園的な空間に高層ビル建設を含む再開発事業が行われる今回のような動きについて「聞いたことがない。全員ショックを受けた」と指摘。東京は世界の主要都市の中でも、一般市民のために設けられた公園などの空間が最も小さいとした上で「東京全体の面積からすれば小さいかもしれないが、これが意味するところは大変大きい。どんなに新たに(樹木を)植林しても同じものにはならない」とし、ヒートアイランド対策や防災対策上からも問題があるとの認識を示した。
小池百合子知事に対して「東京都が計画の承認を行っており、計画の見直しをしてほしい。より長期的な観点でより厳格な目での承認をお願いしたい」と、くぎをさした。
周辺住民など一般の人々に情報提供がほとんどないまま、一連の手続きが進んだ点も疑問視し、対話の場を設けるよう強く求めた。
これまで2年近く、計画見直しを訴えてきた日本イコモス国内委員会の岡田保良委員長によると、イコモス側に現状を説明した後、今月シドニーで行われたイコモスの総会で異例の早さで「ヘリテージ・アラート」が発令されるに至ったという。石川幹子理事は「全員が、アラートを出さないといけないという話になった。1カ国も反対する国はなかった」「東京には非常にいいイメージを持っているのに、今回の事態は『なぜ』という受け止めだった」などと指摘した。
同再開発をめぐっては東京都が今月12日、三井不動産など事業者側に対し、今年1月に公示された環境影響評価書に示されていた既存樹木の保全などに関する検討結果がまだ示されていないとして、今後予定される新たな樹木伐採の前までに、具体的な保全策を示すよう文書で要請した。

