アリスのメンバーでシンガー・ソングライターの谷村新司(本名同じ)さんが10月8日、亡くなった。74歳。所属事務所が発表した。葬儀は近親者のみで15日に執り行ったという。

谷村さんは、昨年死去した安倍晋三元首相とも親交があった。会食をしたり、安倍氏が谷村さんのコンサートに出向くなどの交流があった。

また、2018年3月に都内のホテルで行われた自民党大会では、谷村さんがサプライズゲストとして登場。代表曲の「昴(すばる)」、映画「連合艦隊」の主題歌にもなった「群青」、山口百恵さんに書いた「いい日旅立ち」の3曲を熱唱した。「いい日旅立ち」では、党大会の出席者約3500人が、谷村さんの呼びかけでコーラスを口ずさみ、コンサート会場のような雰囲気になった。

この時、あいさつした谷村さんは「『昴』という曲はコンサートの最後に歌うのですが、今日は1曲目です」と切り出した。午前10時からの党大会開始に合わせて午前7時からリハーサルを行ったと明かし「朝7時に(星団を意味する)昴を歌いました。初めての体験です」と述べ、会場を笑わせた。

政党の党大会という場での歌唱については「こういう場所で歌うのは初めて。とても新鮮な気持ちです」と打ち明けていた。

谷村さんは音楽活動だけでなく、社会的な活動にも長年取り組んだことで知られる。2007年には薬物乱用防止キャンペーンソング「ギーター」を制作し、当時首相だった安倍氏に贈呈した。また、犯罪の防止や更生への理解を深めて犯罪のない社会を目指す「社会を明るくする運動」の活動にも取り組み、「フラッグアーティスト」として積極的に広報活動も行った。