自民党は15日、再審制度を見直す刑事訴訟法改正案の事前審査を行う法務部会・司法制度調査会合同会議を党本部で開いたが、裁判の長期化の一因とされる検察の不服申し立て(抗告)を全面禁止するよう求める多くの議員の指摘を踏まえ、示された修正案の了承は見送られた。法務省は党内の反発を踏まえ、さらに検討した結果を20日に示す見通しだが、議員側との意見の隔たりは大きく、先行きは見通せていない。
今回の議論をめぐっては、検察抗告の是非が最大の焦点となっている。全面禁止を求める党内の反発を受けて法務省から示された修正案では、抗告後の審理期間を1年以内とすることなどが盛り込まれたが全面禁止には至らず、運用上の制限にとどまった。そのため、この日の会議は冒頭から「自民党は法務省のためにあるんじゃないんだぞ。ふざけんな!」「不誠実なんだよ!」など、議員の怒号が飛び交う大荒れの展開になった。
1時間の予定だった会議は約4時間にわたり続き、法務省側の対応への怒りや言い合いのような声が、会議室の外まで漏れ響いた。最終的に司法制度調査会長の鈴木馨祐前法相が、提示された修正案について、さらなる修正を含めた検討が可能か法務省に求め、この日の会議は終了した。
出席者によると、法務省の修正案には9項目の修正が付則に盛り込まれる内容だったが、賛意を示したのは3人ほどで、出席舎の多くが明記されていない検察抗告の全面禁止を求めたという。取材に応じた鈴木宗男参院議員は「一部議員からは、たたき台(修正案の内容)でいいのではないかという声もあったが、大方は、きちんと検察の抗告禁止を明記しないといけないと求めた。私は、この案(修正案)は出すに値しないと思っている」と述べ、「今後、恐らく何がしかの成案を得るべく、相当詰めた案が出てくると考えている。国民目線に合った、これなら納得するという案を出してくれることを願っている」と述べた。
また、この日もメディアの頭撮り取材の際に、法務書側に「不誠実だ」と猛反発した、弁護士資格を持つ稲田朋美元防衛相は「前回の3時間半のヒアリングや、平場での議員の熱のこもった議論を受けた形での修正案を出すという話だったが、今回出たものは、ヒアリングでも議論の前に作られたものとまったく同じもの。信頼関係を損なうものだった」とした上で、「刑事司法への信頼を回復するためにも、(検察)抗告は禁止すべきだ」と訴えた。
「自分も含めて、人は誤るし裁判所だって間違うこともあるし、検察も同じ。そこを認めて反省しないと、いい法律はできないと思う」とも述べ、検察抗告の禁止を明記するようあらためて強く求めた。
会議を仕切った鈴木前法相は「今日の議論を踏まえて、どういう対応ができるか法務省にも検討を求めたところだ。引き続き議論をしていきたい」と述べた。今回の改正案は、本会議や委員会の質疑に高市早苗首相が出席する「重要広範議案」に指定されており、政府は当初、今月上旬の国会提出を目指していた。自民党内の了承が得られない場合、法案の国会提出が見送られる可能性も指摘されている。

