職人芸だ。8日の調教師試験に合格し、来年2月末で騎手を引退する福永祐一騎手が2番人気リメイク(牡3、新谷)でさっそく重賞を制した。勝ち時計は1分8秒9。初の1200メートル戦を大外から豪快に差し切った。

今年のJRA重賞3勝目の同騎手は9日に46歳を迎え、朗報が続いた。同馬は重賞初制覇。地方と海外で重賞4勝の新谷功一調教師(45)は、JRA重賞タイトルを初めて手にした。

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完璧だ。ゴール手前で福永騎手の左拳が上がった。快速馬がそろい、前半3ハロン32秒2のハイペースを4角10番手に控え、リメイクの爆発的な末脚を導いた。「今日みたいな走りに乗っていると、ちょっと名残惜しくもなります」。8日に調教師試験に合格。来年2月末で騎手引退が決まっている名手が、思わず笑みを浮かべるほどの4馬身差圧勝劇を披露した。

時間を費やしたからこそ、格別の1勝だ。3月の昇竜S(1着)で初騎乗。その後も調教からまたがり、1戦ずつ競馬を学ばせた。「プラン通りの競馬ができました。最初から何でもできる馬ではなかったですけど、今はペースに合わせて競馬ができる馬になりました」。1200メートル初挑戦を狙った8月盛岡のクラスターCはフレグモーネのため競走除外。仕切り直しの電撃戦で苦労が実を結んだ。

今後は放牧に出され、優先出走権を得たサウジアラビアのリヤドダートスプリント(G3、ダート1200メートル、2月25日=キングアブドゥルアジーズ)も選択肢に入る。鞍上は13年連続年間100勝まで残り2勝。「気持ちはもうそっち(調教師)にいってるんだろ、という人もいましたけど、僕はまだJRAのジョッキーなので、今まで通り職務を全うしたいなと思います」。これがJRA通算2615勝目。これからも変わらず、白星を積み重ねる。【桑原幹久】

▽新谷師(JRA重賞のべ26頭目の出走で初制覇) 馬が少しずつ成長して、盛岡での苦難も乗り越えて結果を出してくれたので、馬の力があるんだなと思いました。

◆リメイク ▽父 ラニ▽母 サリエル(キングカメハメハ)▽牡3▽馬主 前田幸治▽調教師 新谷功一(栗東)▽生産者 (株)ノースヒルズ(北海道新冠町)▽戦績 9戦5勝(うち地方1戦0勝)▽総収得賞金 1億122万4000円(同875万円)▽馬名の由来 作り直す