歓喜はドーハから中山へ! サッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会で16強に導いた時の人、日本代表・森保一監督(54)が明日25日に中山競馬場で発走する年末の大一番、有馬記念(G1、芝2500メートル)の予想に挑戦した。菊花賞2着から臨むボルドグフーシュ(牡3、宮本)を本命に抜てきする采配だ。鞍上は来年2月末で現役を引退し、調教師に転身する福永祐一騎手(46)。ラスト有馬を勝利で飾る「新しい景色」に期待を膨らませた。【取材=木南友輔、桑原幹久】

    ◇    ◇    ◇  

サッカー日本代表監督の森保一です。読者の皆さん、日本一丸の共闘をありがとうございました。今回は有馬記念の予想をさせてもらいますが、正直競馬の知識はあまりありません。ただ、競馬はファンの感情を爆発させる素晴らしいエンターテインメントだと思います。有馬記念は普段競馬をやらない方も見られると思うので、少しでも参考になればと思います。

今回のW杯ではサッカーくじが行われました。日本は競馬でいう穴馬のような立ち位置だと思うので、日本に賭けた方は、もうかったかなと思います。ちなみに決勝戦は2-1でアルゼンチンが勝つと予想して、試合の流れから「おっ?」と思いましたが、最後は3-3でPK戦。予想を当てるのは難しいですね。

アルゼンチンはメッシ選手が最後のW杯でしたが、試合に懸ける、勝ちたいというすごく濃いものを感じました。その気持ちが周りの選手に乗り移り、持っている以上の力を出せたのではと思います。感動しました。これぞまさしくスポーツの持つ力。筋書きのないドラマ。心に響くものをスポーツ、アスリートは持っていると感じました。

馬にも絶対に気持ち、心はあると思いますし、人間の思いは伝わると思います。僕の本命はボルドグフーシュです。来年2月で騎手を引退される福永さんは競馬界の第一人者として引っ張ってこられた方。最後のW杯で優勝したメッシ選手のように、最後の有馬記念で結果を出す、大きなことをしてくれるのでは、と期待したいです。差し馬ということで、最後に逆転するのもドラマですね。

2番手は名前のいいタイトルホルダーにします。フランスの凱旋門賞に出走したそうですが、海外で戦うというのは本当に難しいと思うので、その経験から国内でより自信を持ってレースに臨めると思います。3番手はイクイノックス。日刊スポーツさんも推していますし、ルメール騎手はテレビにも出られていますよね。4番手のディープボンドも父の父ディープインパクトを知っていますし、凱旋門賞の経験が生きるのではと思います。

監督として決断に迷った時は「日本代表の勝利」「日本サッカーの発展」「日本社会への貢献」という原理原則に立ち返ります。競馬ファンの方もそれぞれの評価基準を持っていると思うので、その原理原則を大事にしていただきたいです。僕もボルドグフーシュの単勝馬券を買って、福永さんの功績に拍手をしながらレースを見たいと思います。(談)

◆森保 一(もりやす・はじめ)1968年(昭43)8月23日、静岡県掛川市生まれ。長崎日大高から87年にマツダ(現広島)入り。守備的MFとして京都、広島でもプレーし、03年に仙台で現役引退。J1通算293試合15得点。日本代表では国際Aマッチ通算35試合1得点。04年に指導者転身。広島や新潟のコーチを経て12年から広島監督を務め、3度のJ1制覇。18年4月から西野ジャパンでコーチを兼任。同年7月にA代表の監督に就任した。家族は夫人と3男。愛称「ポイチ」。