6番人気イロゴトシ(牡6、牧田)が2着以下に大差をつける圧勝で、九州(熊本)産馬初のG1制覇を果たした。勝ちタイムは4分54秒1(重馬場)。黒岩悠騎手(39)、牧田和弥師(51)もG1初制覇。昨年の中山大障害覇者で1番人気のニシノデイジーは出遅れなどが響き9着に沈んだ。

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残り800メートルで先頭に立ったイロゴトシと後続の差があっという間に広がっていく。降り続く雨の中、最後の飛越もきれいに決めた。2着ミッキーメテオとの差は3秒1。黒岩騎手は「まだ実感はわかないです。同じ競馬場で2走目になると、前進してくれる馬。強気で乗ろうと思ってました。ひと言でセンスが抜群」と快勝に声を弾ませた。

道中は4、5番手。逃げるビレッジイーグル、テーオーソクラテス、ミッキーメテオを見ながら、位置を上げてきたニシノデイジーのプレッシャーにも動じなかった。送り出した牧田師は「想像を超えた走りでした。前走(ペガサスJS3着)で勝負にはなるな、と思ってました」とニッコリ。今年1月15日に小倉の未勝利戦で障害初戦を迎え、わずか4戦。3カ月で頂点に立ち、「うまいこといきすぎ」とほおを緩ませた。

ヨカヨカで九州産馬のJRA重賞初制覇を果たし、再び偉業を達成した熊本の本田土寿氏は瞳を潤ませた。「自分の息子(生産馬)がG1の晴れ舞台に出るんですから。家族7人で応援に来ました。熱い思いは人に負けんとばってんが…。最高の感激をくれましたよ。全頭が無事にゴールできたことも良かった。忘れられない日になりました」。

絶対王者オジュウチョウサンが引退し、8年ぶりに「オジュウ不在」となった春の王者決定戦。「まだ伸びしろがある」と黒岩騎手。2歳夏に九州産馬限定戦のひまわり賞を制している異色の新王者が今後のジャンプ界を引っ張っていく。【木南友輔】

◆イロゴトシ▽父 ヴァンセンヌ▽母 イロジカケ(クロフネ)▽牡6▽馬主 内田玄祥▽調教師 牧田和弥(栗東)▽生産者 本田土寿(熊本県)▽戦績 28戦5勝(うち平地21戦3勝、地方3戦0勝)▽総収得賞金 1億4207万5000円(うち平地5927万5000円、地方240万円)▽馬名の由来 色事師