まさに「けがの功名」です。

負傷離脱していた関東の若手ジョッキー、原優介騎手(23)が13日、美浦トレセンで調教騎乗を再開しました。

8月20日の新潟2Rでレース中、向正面で騎乗馬が内ラチへ逃避。衝突時に左足の親指と甲を骨折してしまいました。4年目の今年は9月13日現在で20勝をマーク。2年目の16勝を早くも上回り、勢いに乗っていた矢先のアクシデント。持ち前の明るさにも多少陰りが見えるかな、と思いましたが…。

「今週からレースにも復帰させてもらいます。今日は3頭の調教に乗って、明日、あさっても乗らせてもらいます。けがをした後は理学療法士の方とすぐにリハビリを始めて、どんどん動かしていきました。バイクもこいでいましたし、ずっと運動していました。思ったよりも足の状態がよくて全然大丈夫です!」。

いつものようにハキハキと柔らかい表情で報道陣に対応し、こちらの心配も取り越し苦労に終わりました。

聞けば休養中、栗東トレセンに足を運び、今年2月に騎手を引退した福永祐一技術調教師にアドバイスをお願いしたそうです。

「スタートの技術について教えてもらいました。ゲート内での駐立や2、3歩目のアプローチなど細かく分かりやすく教えていただきました。今までは自分で考えすぎていた面もあったので、考え方もパワーアップできました。復帰してすぐに体現できるように頑張りたいです」。

目を輝かせながらうれしそうに話す様子には、充実ぶりがにじんでいました。

馬も休養中の成長度合いで差がついていくように、人間もいかに時間を有効活用するかが飛躍への鍵を握っているとも言えます。一年中競馬開催がありオフのない職業で、意図せず生まれた時間をポジティブに生かした原騎手。今後の活躍に注目です。【桑原幹久】