ジャパンCウイークの、1週前の競馬が終わりました。秋の福島最終週は激しいリーディング争いが繰り広げられ、東京では新馬戦、赤松賞など来年が楽しみになる2歳戦がたくさんありました。

東京競馬場の記者席のテレビの前で見守った京都のメイン、マイルCSは◎ソウルラッシュが直線で力強く抜け出してきてくれたのですが…。○ナミュールの末脚がすさまじかったです。関係者の皆さま、おめでとうございます。

ナミュールを管理する高野厩舎といえば、15年のジャパンC、◎ショウナンパンドラの取材で聞いた師の言葉が忘れられません。

「これは僕の持論なんですが…、草食動物は逃げなきゃいけない。雌だけ脚が遅かったらみんな肉食動物に捕まっちゃいますよね。子どもを産む雌がみんな捕まっちゃったら生き残っていけないじゃないですか。神様は雄も雌も脚の速さは一緒にしてくれていると思うんです。それなのに競馬は負担重量が違う。牝馬の方が強くてもまったくおかしくないと思ってます」(15年11月26日の日刊スポーツ紙面より)。

21年大阪杯の◎レイパパレも牡馬相手に強い競馬で勝ちました。もちろん、いつもいつも牝馬で勝つわけではありません。ただ、今日のマイルCS、紅一点だったナミュールの末脚、仕上げは素晴らしかったと思います。レースの予想をする時、牡馬相手の牝馬を狙う時にはいつも思い出す「金言」です。

ライアン・ムーア騎手の負傷で急きょのコンビとなった藤岡康騎手も最高にカッコ良かったですね。直線半ば、進路をつくってから左ステッキ5発。本当にカッコ良く、迫力がありました。プレッシャーのかかる乗り替わりで見事な結果。感動しました。

というわけで…、明日からはジャパンCウイークです。世界ランク1位&G1・5連勝中のイクイノックスと、3冠牝馬リバティアイランドが激突します。どっちが強いのか、多くの競馬ファンが頭を悩ませる1週間になると思います。2頭とも自在な脚質で、ともに日本を代表する名手の手綱。イクイノックスは古馬牡馬で58キロ、それに対し、リバティアイランドは3歳牝馬で54キロの負担重量です。この「4キロ差」をこの1週間、競馬ファンは何度も何度も検討することになるのではないか、と。

もちろん、2頭だけではありません。反撃を期すダービー馬ドウデュース、4歳世代トップホースの1頭ダノンベルーガ、昨年の2冠牝馬スターズオンアース、G1・3勝タイトルホルダー、G1・2着4回のディープボンド、連覇がかかるヴェラアズール、そして、出走の意思が表明されたパンサラッサなど。豪華メンバーです。

昨年のジャパンC(◎ヴェラアズール)は直線、「ライアンッ、ライアンッ、ライアンッ」と連呼しながら記者席の机をたたき過ぎて、レース後、右手がしばらく、しびれていた記憶が…。

今から家に帰って、しっかり体を休めて、明日は早朝から取材予定。フランスからやってきた、今年唯一の外国馬イレジンの調教を見てくるつもりです。

一気に冬の寒さになってきました。体調を大事にして、来週も仕事、勉強、そして、競馬を楽しみましょう。【木南友輔】