津村明秀騎手(37)騎乗の2番人気テイエムトッキュウ(牡5、木原)が鮮やかに逃げ切り、3度目の重賞挑戦で初制覇を果たした。好スタートから楽に先手を奪い、直線でもスピードを持続させた。

2着チェイスザドリームに3馬身差の圧勝で、勝ちタイムは1分9秒3。同騎手とコンビを組んだ中山ダート1200メートルでは3戦3勝となった。

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中山で“津村トッキュウ”は止まらない。テイエムトッキュウがスタイルを貫いた。キャリア16戦目で12度目の逃げの手。持ち合わせているスピードが違う。スタートからゴールまで他の追随を許さなかった。津村騎手がうなずいた。「スタートセンスは抜群のものを持っていますから。後は自分のリズムで、緩めずにいくことだけを心がけました」。ラスト1ハロンでセーフティーリード。理想通りの競馬が出来た。

師も認める名コンビだ。勝負服を脱ぐ津村騎手の隣で、木原師は笑顔を見せた。「全て任せてますから」。今年1月の同舞台、初春S(3勝クラス)で初めてコンビを組み即勝利。同騎手を背にすると中山ダート1200メートルは3戦3勝。いずれも2着に2馬身半差以上をつけた。得意の芝スタート、優れたスピードなど、勝因はさまざまある。その中で一番なのは人馬の呼吸が合っているからだ。

優勝して来年2月下旬にサウジアラビアで行われるリヤドダートスプリント(G3、ダート1200メートル)の出走権を獲得したが、今後は馬の様子を見て選択される。鞍上は「これからいろんな条件が待っていると思うので、楽しみです」。人馬の勢いがさらに加速した重賞勝ちだった。【阿部泰斉】

◆テイエムトッキュウ ▽父 ロードカナロア▽母 アグネスナチュラル(サクラバクシンオー)▽牡5▽馬主 竹園正継▽調教師 木原一良(栗東)▽生産者 高昭牧場(北海道浦河町)▽戦績 16戦6勝▽総収得賞金 1億2947万3000円▽馬名の由来 冠名+特急。