昨年の引退騒動はなんだったのでしょう。

英国から米国西海岸に拠点を移して元気に騎乗を続けているL・デットーリ騎手(53)が、14日(日曜)にサンタアニタパーク競馬場で行われたラスシエネガスS(G3、芝1300メートル)に優勝。米国に移籍後、初めての重賞勝ちを飾りました。

6歳馬ハニーパンツ(牝、父カイロプリンス)と初コンビを組んだデットーリ騎手は直線早めに馬を先頭に立たせて、本命馬エルムドライヴの末脚を頭差振り切って優勝。これがデビューから22戦目となった7番人気(11頭立て)の伏兵を見事によみがえらせました。

年末にカリフォルニアへの引っ越しを終えたデットーリ騎手はクリスマス直後の12月26日(火曜)から騎乗を開始。年内に2勝を挙げ、14日までの成績は9勝、2着11回。1日あたり平均4~5鞍に騎乗し、11日間の開催で52鞍に騎乗、4割近い連対率を残してファンの期待に応えています。

デットーリ騎手の北米重賞勝ちはこれで31勝目。

オフィシャルサイトによると国際G1競走の勝ち鞍は凱旋門賞(6勝)、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(7勝)、ジャパンC(3勝)、BCクラシック(1勝)、ドバイWC(4勝)、それに英国をはじめとする欧州5カ国のダービー制覇など昨年までに322勝を数えていますが、ケンタッキーダービーは未勝利(00年にチャイナビジットで挑み6着)です。

英ダービーと、ケンタッキーダービーの2つを制しているのは70年代から80年代にかけて活躍した米国出身S・コーゼン騎手(78年にアファームドでケンタッキーダービー、85年にスリップアンカーで英ダービー)だけ。

史上2人目の快挙に向けて、デットーリ騎手の挑戦は続きます。【ターフライター・奥野庸介】(ニッカンスポーツ・コム/極ウマコラム「ワールドホースレーシング」)