ばんえい競馬唯一の女性調教師の谷あゆみ師(57、写真=ばんえい十勝提供)が、イレネー記念に出走するコトブキテンザン(牡3)で開業19年目にして悲願の重賞初制覇を狙う。

「もちろん重賞を勝ちたい思いはあります」と話す谷師は奈良県出身。帯広畜産大卒業後、シンザンで有名な谷川牧場(浦河町)で働き、93年からばんえい競馬の厩務員となり、06年に厩舎を開業した。重賞は07年ばんえいグランプリを皮切りに28戦、延べ32頭を出走させ、2着4回3着1回とあと1歩届かずにいる。それでも「焦る気持ちは馬に伝わる。まずは馬の個性や力を最大限に発揮させて無事に走ってもらうことがモットーです」と自然体を強調する。

コトブキテンザンは重賞ヤングチャンピオンシップ6着、翔雲賞10着も2月のA1級で強敵相手に2連勝するなど、最大の上がり馬だ。「精神面で大きく成長し、走りに集中していることが結果につながっています」と期待する。勝って歴史に名を刻む。