日刊スポーツの名物コラム「ヨシッ!!トミ」(94年7月16日に連載開始)で、ヨシトミさんには週末の美浦でお世話になった。20代だった私にとって、騎手会長であり、レジェンドジョッキー。毎週緊張しながら取材していたのだが、ヨシトミさんはいつもひょうひょうと、騎乗馬について教えてくれた。

当時は重度の腰痛を抱え、痛みに耐えながら騎乗を続けていた。「メスを入れちゃうとなあ…」。長期離脱はもとより、再び乗れなくなるかも-。手術に踏み込めない苦悩を、こんな若造にもぽつりと打ち明けていた。一時は大好きなゴルフもできなくなるほどに悪化。09年1月、騎乗停止処分を受けた日曜の夜。店で酒を飲んでいたところ、あまりの痛さに座っているのも耐えられなくなったという。「もうさ、すぐ電話して、店からそのまま病院に行って、手術を受けたんだよ」。翌年、宝塚記念をナカヤマフェスタで制した時のエピソードとして書かせてもらった。遅筆の私が一番早く書き上げられたハイライト原稿だ。

ブエナビスタ、ドリームジャーニーら、強豪相手にオープン勝ちからフェスタをエスコートして宝塚記念を勝った時の鞍上のあの勇姿。ヨシトミさんも腰痛を克服して4年ぶりのG1制覇にしびれた。今回の一報で思い出した、私にとっての思い出のレースであり、大好きなサクセスストーリーだ。

動物が大好きで、馬だけでなくタカも手なずけられる。そして、ワイン通。そうだ! フランスの修道院で作られた、おいしい赤ワインもごちそうになりました。ゆっくりお酒を楽しみながら、大好きな趣味に没頭してください。ヨシトミさん、本当にお疲れさまでした。

【07~12年中央競馬担当・山本幸史】