いま再び静岡県沼津市の千本浜公園に立っている。

半月前にバッテリー1本のアシストだけで0mから富士山新五合目2400mを目指す旅をした、そのスタート地だ。あの旅は使える電力に限りがあったので、電動アシストの使用は最小限。体力的にきつかったが、その分達成感は大きかった。ちなみに愛車、ヤマハYPJ-TCのメーターによると消費カロリーは2977キロカロリー。フルマラソンと同じくらいだったので、あらためて頑張ったなと思う。

そこで次は、交換バッテリーを携帯して電動アシストをフルに使って、富士山新五合目を目指してみようと考え、再び千本浜公園にやってきた。今回はサイドバックに充電済みのバッテリーを2本携帯。車重的には6キロも重くなるが、バッテリー切れの不安は皆無。果たしてどんな旅になるのか、楽しみだ。


ここ海抜0mから、富士山五合目2400mを目指す
ここ海抜0mから、富士山五合目2400mを目指す

午前6時少し前、前回とほぼ同時刻に千本浜公園を出発。まずは沼津市内から国道246号を目指す。市内を走りながら、前回は気が付かなかった、シャッターに描かれた絵や沼津らしいマンホールを見つけた。同じ場所を走っているはずなのに、不思議だ。まあ、2度目というのもあると思うけどね(笑)。さらに進むと歩道脇でコスモスが風に揺れていた。半月前も咲いていたのかな? もしかしたらペダルをこぐことに必死で、あまり周りが見えていなかったのかも、そんなことを考えた。

国道246号に入ったところで、家にワイヤ錠を忘れたことに気が付いた。E-Bikeから離れるときに錠がないと不安なので、御殿場のホームセンターで買うことにして、先へ進んで行く。左手の視界が開けると遠くに富士山が見えた。手前の空き地には赤い彼岸花が咲いている。半月前にはなかった景色、季節が進んでいることを実感する。


沼津らしいマンホールのデザインがオシャレ
沼津らしいマンホールのデザインがオシャレ

彼岸花の向こうに巨木と富士山が見える
彼岸花の向こうに巨木と富士山が見える

朝めしは前回と同じ駒門PAと決めていた。もちろんお気に入りの焼魚定食を注文する。E-Bikeが見える場所に席を取り、いただきます♪ 小鉢、納豆、温泉卵付きで栄養満点。パワーチャージする。御殿場市内に着くとワイヤ錠を探してウロウロ… ホームセンターを見つけたが、開店30分前。他を探すがどこも9時半が開店時間。仕方なく駐車場で30分待ち、開店すると同時に購入。ようやく安心して走れるようになった。


このルート前半は傾斜がなだらかなのだが、延々と坂が続くとさすがにキツイ。ただ前回は時々休みながら進んでいたが、今回は強力なアシスト「HIGHモード」があるのでガンガン登って行ける。きれいな田園の前で写真を撮ったり、オシャレな公園を見つけて立ち寄ったり、体力に余裕にあると心に余裕ができるようだ。


滝ヶ原駐屯地の正門を過ぎると民家はなくなり、ひたすら自衛隊の演習場と森が続いた。今回は演習場から地鳴りのような大砲音が聞こえたが、今回は静かで、自分の息とE-Bikeのモーターの音しか聞こえない。


マイペースでペダルをこいでいると、51.1キロのところでメーターが0%になった。1本目のバッテリー終了、ここで充電済みのバッテリーと交換をする。五合目まで15キロぐらいなので、おそらくこの1本で行けるだろう。


富士山スカイライン。静かな森の中を進んで行く
富士山スカイライン。静かな森の中を進んで行く

0%になったところで2本目のバッテリーに交換
0%になったところで2本目のバッテリーに交換

4キロ走り、自動販売機とトイレがある最後の休憩ポイント「水ヶ塚駐車場」に到着した。マイカー規制中が解除されたのでいまは無料、車も少ない。時計を見ると11時半。偶然にも前回とほぼ同時刻だ。ホームセンターで30分ロスしたことを考えると早い。前回はここから富士山頂が見えたが、今回は雲で見えない。サンドイッチを食べると再び走りだした。


水ヶ塚駐車場でサンドイッチ、これが最後の休憩
水ヶ塚駐車場でサンドイッチ、これが最後の休憩

前回はここからがきつく、五合目まで3時間もかかった。今回はHIGHモード、アシストを最大限に生かして登って行く。スピードは遅いものの、確実に登って行く。前回はペダルを止めて何度も息を整えたり、脚を休めたりしなければ進むことができなかったが、今回はそこまでつらくない。また前回は一番軽いギアにしなげれば進めなかったが、今回はフロントはアウターギアで登っていることに気が付いた。それだけ脚にかかっている負担が少ないということ、大きな差を感じる。


必死にペダルをこぐ。今回はこんな写真を撮る余裕があった
必死にペダルをこぐ。今回はこんな写真を撮る余裕があった

なんと、前回より1時間半早く五合目に到着した。やっぱりアシストの力は偉大だ。バッテリー残量は25%。前回走った時は疲労困憊(こんぱい)で膝はガクガク、ももはパンパンだった。今回はもちろん疲れているが、そこまでダメージは深くない。アシストの違いを身をもって感じることができた。

喜びに浸っていると「藤原さんですか?」と男性が声をかけてきた。中年の男性だ。一瞬誰かわからなかったが、なんとビックリ1990年代に僕と同じように原付オートバイで世界を走り回っていた佐野さんだった。最後に会ったのは20年前? はるか昔のはなしだ。SNSで僕が富士山を走っていることを知り、急きょ午後の仕事を休んで会いに来てくれたという。感激の一言だ。五合目でこんな再会が待っているとは、まさかのサプライズだった。お互いの近況など1時間ぐらいおしゃべりをした。佐野さんはいまE-Bikeに興味津々だというので、もしかしたら次は、お互いE-Bikeに乗って再会、なんてことがあるかもしれない。


富士山五合目ではすでに紅葉が始まっていた
富士山五合目ではすでに紅葉が始まっていた

富士市から仕事を休んで五合目まで車で駆けつけてくれた佐野さん
富士市から仕事を休んで五合目まで車で駆けつけてくれた佐野さん

走行距離:133.5km 消費カロリー:2378kcal