天井の高さに圧倒される。スタイリッシュで高級感あふれるダイニングエリア
天井の高さに圧倒される。スタイリッシュで高級感あふれるダイニングエリア

 ジェイ・Z、キム・カーダシアン、グウィネス・パルトローらセレブもお気に入りのレストランとして知られる、ニューヨークのホットスポット「ZUMA NEW YORK」を初めて訪れてみた。

 洗練された食通たちが集まる食の激戦区ニューヨークで、長年にわたりレストランが存続していくのは並大抵のことではない。“氷の大仏”で一世を風靡し、華々しくグローバル展開していたあの、6つ星獲得のモダンジャパニーズ・レストラン「MEGU」が数年前、つぶれるのを目の当たりにした。この地で生き残っていくだけでなく、激しい競争に打ち勝っていくためには、目も舌も肥えたニューヨーカーたちを飽きさせない工夫が必須だ。

味も文句なし。葉っぱで包まれて出てきた大きめの銀鱈の西京焼き
味も文句なし。葉っぱで包まれて出てきた大きめの銀鱈の西京焼き

 2002年よりロンドン、香港、イスタンブール、アブダビ、ドバイ、マイアミなどでグローバル展開している「ZUMA」だが、東京で修行を積んだというドイツ生まれのシェフで共同創業者のレイナー・ベッカー氏も、さすがにニューヨークという土地に恐れおののいていたという話だ。3年という念入りな準備期間を経て、昨年ついに、メニュー、インテリア、雰囲気とすべての要素を兼ね備えたコンテンポラリー・ジャパニーズのレストラン「ZUMA NEW YORK」がオープンした。

デザートの「茶碗蒸し」。カスタードにマンゴー、ココナッツなどが入っていて美味しい
デザートの「茶碗蒸し」。カスタードにマンゴー、ココナッツなどが入っていて美味しい

 3つのオープンキッチンを備えるスケールの大きさ。居酒屋のダイニングスタイルをインスピレーションにしたデザイン。高級感とニューヨークらしいヒップな雰囲気を見事に融合させた空間だ。天井がめちゃくちゃ高い上に、ミッドタウンとは思えないほど広々としていて、こんなに大きなレストランを見たのは、あの今はなき「MEGU」以来である。

大きな大理石のオープンキッチン・カウンター。寿司バーも含めキッチンは全部で3つある
大きな大理石のオープンキッチン・カウンター。寿司バーも含めキッチンは全部で3つある

 オープンキッチンのカウンター席は重厚な大理石で、かなりゆったりしている。寿司カウンターには3人のシェフがいたが、日本人かどうかはわからなかった。しかし、ミシュラン獲得のヘッドシェフ遠藤和年氏が目を光らせているため、最高の寿司が期待できることは間違いない。

噂によると、ウェイターたちのトレーニング・セッションもじっくりと行われ、計300問におよぶ書き取りテストで90%以上のスコアを獲得しなくてはならないという徹底ぶりらしい。

奥に見えるのがキッチンカウンター。巨大な天然の石を使った壁のデザインに注目
奥に見えるのがキッチンカウンター。巨大な天然の石を使った壁のデザインに注目

 ランチタイムだったので、ビジネスマンたちの姿も多かった。値段は、マジソン街という最高の立地にある高級店にしては意外にリーズナブル。メニューには、一皿20ドル以下のものもあったのが驚きだ。味の方も申し分なく、銀鱈の西京焼きが葉っぱで包まれて出てきたことには感心したし、あんなに大きな西京焼も珍しい。

2階にも大きなバーエリアが。プライベートパーティー用の個室もある
2階にも大きなバーエリアが。プライベートパーティー用の個室もある

 またひとつ、ニューヨークの食のスタンダードを変えるレストランが登場した。こんな風に、和食がニューヨーク最先端のレストラン・シーンをリードして行くのも悪くはないな、と思った。(米ニューヨーク在住・鹿目直子。写真も)