兵庫・明石のブランドマダイを狙おうと先日、明石浦の「丸松乗合船」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)の船で明石海峡へ出た。岩礁をサビキ仕掛けで攻めると早朝に良型が連発したが、その後は潮が緩む時合に恵まれず苦戦。ベテランを中心に少ないチャンスをとらえ午後1時すぎまでに船中で30~52センチを6匹ゲット。急流で育ったマダイの強い引きを楽しんでいた。潮が小さい日なら、匹数も期待できる。

 時合を逃さないベテランの技が光った。明石海峡のマダイ釣りは潮の流れが緩むタイミングを狙う。岩礁の潮上につくマダイを釣るため、流れが緩いほうが釣りやすいからだ。この日は潮回りが大きくなっていく若潮で、流れに勢いがあり、チャンスは少なかった。

 それでも朝一、満潮からの動きだしに40~50センチの良型マダイが連発! ガンガンガンとサオをたたく激しいアタリでロッドが絞り込まれた。仕留めたのは、船尾のベテラン・和田敏雄さん(68=加古川市)、浜本勝秋さん(74=神戸市)らで「サオ先を引き込む強いアタリがたまらない。食べてもうまいしね。刺し身やあぶり、握り寿司にすると最高だよ」と笑顔で話す。

 水深は50~60メートル。食いダナは、底から5~8メートル。ベテランたちの釣り方は、かけ上がりに沿ってサビキが漂うように道糸を引き上げていくというもの。流れが非常に速い海峡だけに、これが難しい。さすがだ。

 そして、潮の流れが徐々に速くなる中、船尾の浜本さんが今度は52センチを、船首の上村文忠さん(43=尼崎市)は、50センチを食わせ「明石のマダイは、サイズ以上に引きが強いのが魅力。ほかの釣り場とは、全然違います」とにんまり。

 だが、流れが勢いを増すと、あっという間に船がポイントを過ぎてしまう。こうなると潮待ち。流れが比較的緩いポイントや、淡路島寄りの浅場も探ったあと、流れが緩みだした正午ごろ、再び海峡へ。全員がラストチャンスにかける。

 松本勝誠船長も、巧みな操船で何度も潮上から船を流し、魚群探知機をにらみながら刻々と変わる水深と、マダイの反応をアナウンスしてくれるが、流れが落ち着ききらず30センチを1匹追加した午後1時すぎに納竿。

 この日は緑、白、赤のサビキにマダイが反応し、25~30センチのジャンボメバルも交じった。記者は痛恨のノーフィッシュだったが、急流で岩礁を攻める面白さを実感。リベンジを誓って沖をあとにした。【近江康輔】

 ◆船長のアドバイス 船が流れる速さを考えながら、かけ上がりの少し上にオモリをキープできるように道糸を引き上げていくのがコツ。マダイの反応が良いリールの巻き上げ速度はどれぐらいかと聞かれることが多いが、そうではなくてマダイが定位しているところにサビキを漂わせることが大事。

 【問い合わせ】丸松乗合船【電話】090・6981・4620。マダイ乗合船料金は8500円(マダコは6500円)午前5時前に集合。納竿は午後1時。

 【交通】第2神明道路・玉津ICを出て国道175号に入り南下。和坂の信号を左折し同2号へ。明石川に架かる橋を渡り、すぐの信号を右折。明石浦漁協前を右折し約200メートルで同乗合船。

 【今後の見通し】マダイは6月初旬まで狙える。これから食いダナが上がり、活性が上向く。仕掛けは丸松乗合船特製のものがお薦め。マダイの食性に詳しい船長が最適なものを用意してくれる。マダコもシーズンイン。初期から浅場で掛かっており、3キロ超がでるなど、順調だ。