横浜でのジャパンフィッシングショーが閉幕して9日が経過した。3日間の入場者数は昨年を上回り、大盛況の印象は残った。有力メーカーの新商品や人気アングラーのトークショーもいいが、その陰で静岡の奥座敷から「観光の起爆剤に釣り」を掲げる西伊豆町もブース展開していた。さて、何をアピールしていたのか?
◇ ◇
今年も来場者でいっぱいになった。1月18日から20日の3日間で4万1758人が押し寄せた。昨年と比較すると0・6%上回った。そのうち女性は前年比4・8%増で、ようやく女性の釣り人が増えたのかなぁ、と思えるような数字が出てきた。
ただ、会場が大きいだけに有名なブースの陰に隠れてしまう出展案件も少なくなかった。
覚えてましたか? 静岡県の西伊豆町も会場にいたんですよ。「にしいずまち」じゃないんですよ。正式には「にしいずちょう」です。奇岩で知られる堂ケ島のある場所で、地元漁協はおいしいヤリイカでも売りだそうとしている、そんな町です。
フィッシングショーには、もう3年連続でブース出展していて、この2年は「ふるさと納税」をアピールしていた。納税の対象となる物品を購入するラインアップに魚介類や、釣り船の乗船チケットなどをそろえて、海の町を前面に出してきていた。
地道ではあるが、2年の歳月を費やしたこともあり、西伊豆町のふるさと納税は知名度も上がってきた。同町商工観光課の松浦城太郎さんは「釣りの博覧会なのだから、もっと釣りのことをブースでやってもいいかなぁ、と思いました」と話す。
そこで、昨年4月から地域おこし協力隊として同町で働く鷹野純也さんと小山優香さんがブース出展プランを練った。
「地域おこし協力隊」は制度化されて10年。都会の住人を地方に移住させて、その土地の特性をいかした仕事に就いて地域活性させる国の制度だ。各自治体が隊員を募集して、総務省からの特別交付税で隊員1人につき仕事内容に応じて250万~450万円を給付する制度だ。
もともと鷹野さんと小山さんは、関東から伊豆地方に定期的に釣りに訪れていて、特に西伊豆町が気に入って、松浦さんと知り合って、協力隊として採用されたのだった。
鷹野さん 釣り人の主たる目的は釣り。最近は意識が高くなってきたけど釣りをした後にはゴミが残ってしまう。地元民も釣り場が汚れるから釣り人を嫌う。そこ、どうにかならんだろうか? ゴミを拾って役場に持ってきたら“ごほうび”を渡すのはどうだろうと思った。
1月4日から「釣り場クリーンプロジェクト」と題して、オカッパリ(陸からの釣り)の釣り人にゴミ袋を渡した。効果は絶大だった。
小山さん 基本的には、役場の事務所まで持ってきてもらうんです。でも、自分たちの出したゴミだけじゃなくて、目につくゴミも拾ってくれる。きれいな海で釣りをしたいですよね。ありがたいです。
現在は、現地産品や使わなくなったルアーなどをゴミと交換している。
松浦さん ブースを出していて、アイデアもいただいた。「じゃ、釣り人から使わないルアーをもらって、ゴミだけじゃなくて釣り具のリサイクルもしたらいい」って。さっそくルアーをいれる専用ボックスをつくります。
フィッシングショーにブースを出さなければ広く知られなかったかもしれない。新しいアイデアもよせられなかったかもしれない。さあ、読者のみなさん、西伊豆町の場所を地図で確認してくださいね。
来年もブースを出す予定だ。4回目はどんなテーマで横浜に乗り込んでくるのか、楽しみだ。【寺沢卓】