雨と仲良くなるのも、釣りの楽しさですよ。日刊スポーツ社主催ヘラブナグランドチャンピオン大会決勝(11月4日)の会場となる千葉・三島湖「ともゑ」(森和人店主)では、今月15日(祝・月)に予選が開催される。近年では、気がついたら幕が閉じる空梅雨ばかりだったが、今年はしっかりした“泣き顔スカイ”を堪能できている。さて、ヘラ釣りでは、雨天とどうつきあいますか?

雨降りの釣りを好む人はあまりいない。特に定点でしっかり狙うヘラブナ釣りに雨は天敵だ。ならば、どうやって雨天と仲良くできるのか?

日刊スポーツの初心者企画「ヘラブナ道場」を6月24日、三島湖「ともゑ」で実施した。第3期生岩野忍さんと渡辺剛さん。過去2回は桟橋釣行で、ロープにつなぐボート釣りは初めてだった。それぞれに大関実コーチと関川康夫師範代がマンツーマンで指導した。

この日は絵に描いたような土砂降りだった。

2人とも海釣りはアジからキハダマグロまでをこなすが、淡水系はほとんど経験がない。ましてや、ヘラ釣りで雨天の中でのボート。一気にハードルが上がった。海に精通しているからこそ、ちょっとした過信と準備不足があった。

「雨ぐらい大丈夫だろう。なんとかなるさ」。渡辺さんは傘はなく、カッパだけで、帽子もタオルも持たずに臨んでいた。これでは自滅を招いてしまう。

「ともゑ」にもレンタルの傘があったが、今年はしっかりした梅雨があったことですべて破損していて修理中だった。渡辺さん、ついてない。

渡辺さん まさか釣りで傘を差すなんて思ってもみなかった。エサに雨が当たるからボウルを2つ使ってぬれないようにしたけど、限界があった。せめて帽子だけでもあれば顔面に雨が当たらず視界も確保できたのに。タオルがないと、エサで手がボサボサになる。雨の装備は重要ですね。痛感しました。

岩野さんは、子どもの熱射病対策で購入したばかりの大きめのパラソルを用心のため持ってきていた。

岩野さん 僕も釣りで傘とは考えもしなかった。傘ひとつでとても快適だった。体が雨に当たらないだけでウキに集中できる。これからは暑い夏も予想されるので、ヘラで傘は必需品ですね。いい勉強になった。

雨天時と暑い夏対策として、関川師範代にエサづくりの解説をしてもらった。

取材日は激しい風雨でヘラの活性も下降気味だった。

★活性低い雨天 「BBフラッシュ」2、「ガッテン」1、「凄麩(すごふ)」1に水1の割合。全部一気に混ぜて、しばらく水が浸透するのを待つ。押し練りを繰り返して耳たぶよりもやわらかいぐらいを目指す。両ダンゴならウキのトップの目盛りが7つぐらい沈んで、ジワジワ上がってくる途中でアタリをとるイメージ。両ダンゴでも食い渋れば「力玉」「ヒゲトロ」などのエサ残りのいいものを食わせバリにつけるセット釣りも柔軟に考える。

★底付近に活路 「グルテンダンゴ」1、「カルネバ」1、「バラケマッハ」2に水1。深宙のチョウチン釣りに合う。比較的重いエサなので、深い底付近でジワジワとヘラを寄せてくれる。

★浅い場所 「ガッテン」3、「GTS」1、「浅ダナ1本」1に水1・2。ヘラが浮いて動いている場合、バラケの早い両ダンゴで様子をみる。反応はすぐ出るので答えは早そう。

実釣はなかなかの強敵だった。4人ともにヘラは釣れたものの、午前11時前にあまりの雨の強さにギブアップ。ウキのわずかな動きを逃さず、ずぶぬれになりながら大物をゲットした渡辺さんは「これはうれしい。ともゑさんの食堂に戻ってきて食べたカツカレーがこの世で一番おいしいと思いました」としみじみと話した。岩野さんは「傘で守られていたからアタリも察知できた。かなり降っていましたが、雨のヘラもまた面白いですね」と話した。

ともに、サオはがまかつの13尺。渡辺さんが「天輝」、岩野さんが「千早」を握った。

大関コーチは「天候に左右されずに現場を読む。その場でどれだけアドリブで勝負できるか、ですね」とアドバイスし、関川師範代は「振り込みの正確さ。ここに尽きる。狙うポイントがあっちゃこっちゃに行かないように制御できるか。みなさん、15日の予選、頑張ってください」とまとめた。【寺沢卓】

▼宿 三島湖「ともゑ」【電話】0439・38・2544。出舟午前5時(エレキは同5時10分)、帰着午後5時。レンタル料金は、ボート1人乗り3000円(放流バッジ所持は500円引き)、エレキはフット3000円・ハンド2000円、バッテリー1000円。食堂&弁当は7月31日まで臨時休業します。

▼予選&決勝日程

7月15日(祝・月)三島湖「ともゑ」募集40人=受け付け午前4時、ルール説明は同4時30分、出舟同5時。帰着・検量午後3時。競技エリアは全湖を対象。

10月5日(土)精進湖「湖畔荘」同30人

10月20日(日)西湖「白根」同30人

★決勝 三島湖「ともゑ」=昨年王者、5地区×上位5人の計26人。競技エリアは猫打橋~ダムサイト釣り禁止ライン。