いよいよ、待ちに待った渓流解禁が2日後に迫ってきた。3月1日は関東近郊の主な河川で渓流釣りが解禁される。2019年の台風が各所で爪痕を残し、その影響が出ている。この冬は異常な暖冬で魚の動きはやや早そうだが、まずは河川の状態を見極めてみよう。山に入って、沢と谷で遊んで半世紀、渓流の神さま、相吉(あいよし)孝顕さん(86)が各地区の放流状況を地図にまとめてリポートする。

みなさん、こんにちは。相吉です。つい先日、東京・奥多摩川と山梨・釜無川水系の塩川をふらりと訪ねてみました。

今は、インターネットでほとんどのことが分かる世の中です。便利ですね。私もスマホ画面に指を滑らせて、情報入手することが多くなりました。

ただ、その中にある情報は正確には「今」ではなく「過去」のことになります。どんなに便利でも、いろいろな場所の様子を探れても、今の状態を把握することはできません。渓流ならばなおさらです。

例年と何が違うか。昨年、関東地区に大きな被害をもたらした台風ですが、その影響は山や谷や渓流にまだ深く、濃く残っています。

奥多摩地区と塩川に足を向けて思ったのは、細心の注意をして、入山しないといけないということです。

まだ、林道によっては立ち入れない場所もあって、どこが崩れているかなどは実際に歩き回ってみる必要を感じました。各河川の漁協もHP(ホームページ)に注意喚起もしていますが、HPを眺めるだけではなく、直接電話をして細かく聞いてみてください。まとめた地図には各漁協の電話番号を入れておいたので、ダイヤルしてください。

山の奥深くに入っていくと、当然道路はだんだんと狭くなります。駐車する場所も限られます。少し陰になったところにスペースもあるのですが、いくら暖冬とはいえ、山は寒い。地表が見えない場所は特に気を配ってください。凍結して滑る場合もありますから。

そして川をみると「おや?」と思われるはずです。浅瀬が土砂で埋まって、肝心の岩が見えなくなっています。川の蛇行する場所も削れてしまって「自分だけの淵」と思っているお気に入りも姿を変えているかもしれません。

明後日3月1日から長い渓流シーズンが始まります。山に人間がどう同化できるのか、それが渓流釣りです。まずは慌てずにはやる気持ちを抑えて、これから入る川全体を観察して、自分の安全を確保してくださいね。(相吉孝顕)

<各河川の状況>

東京

★多摩川上流 台風での集中豪雨が多発したエリア。足場のもろくなっている場所が点在するため地盤には注意が必要。本流は砂地が多くなっている。

★日原川 まだ林道が封鎖されている場所もあるので、開通されれば上流も解禁になります。

★秋川 五日市周辺の川の筋があって、一部はまだ工事中。川全体の視察をするのがおすすめです。

 

山梨

★釜無川 川の合流ポイントでかなり変化がみられる。流れ自体の筋が動かされた水系もあるので、歩いてみてください。

★富士川 本支流では、川床の低下が散見されるので、川中の岩の配置には観察が必要ですね。

★桂川 本流では点在する大淵で、流れが緩やかになっているので、昨シーズンの魚が残っている。葛野川などは足場もよく狙い目でしょうか。

 

群馬

★神流川上流 本流で砂に埋まっている場所がある。支流はまだ情報の入っていないエリアもあるので要注意です。

★利根川上流 台風時にダムからの放水もあって、川相の変化した場所があります。

★渡良瀬川 堆砂のポイントが点在しています。

 

静岡

★狩野川 本流の砂地が多くみられる。一部で崩壊した場所もあって、改修が進行しているので、漁協に問い合わせをしてください。

★気田川 特に大きな被害は見受けられない。杉川、熊切川に入るのが無難でしょうか。

★興津川 土砂が崩れて工事中の場所もある。ここも漁協には電話連絡してよく確認してください。

 

神奈川

★酒匂川 玄倉川などは車の通行もできない場所もあるため、行く前に道路状況を把握されたし。

 

埼玉

★荒川上流 源流域は土砂崩れの場所もあって、足場には要注意です。

 

栃木

★那珂川上流 本流は車で川に近づけない場所もあるが、支流はダメージが少ない。板室温泉周辺と那珂川上流は期待できそう。人見釣具店への電話でよく確認してください。