マダイ釣り対決番外編、またも凱歌(がいか)は無心の美女の手にー。大魔神こと佐々木主浩さん(52=本紙野球評論家)と大親友の松本秀夫アナウンサー(59=フリー)とのマダイ対決の場は何と神奈川・八景沖。しかも出船した「太田屋」の船着き場から目と鼻の先が漁場になる。この船では4・4キロの大物も出てきたが、一体誰が釣ったのか?

コツン!

東京湾中に響きそうな、金属をぶつけたような音だった。松本アナがタモ網ですくおうとしたマダイの頭部に輪っかのヘリをぶつけた。軽い脳振とうを起こしていたのか、この衝撃でわれに返ったマダイは尾でピシャンと海面を打ち、東京湾の深みに消えていった。

序盤で大魔神がサオを曲げ、そのそばで松本アナがタモ網を握って仁王立ちをしていた。マダイが見えて大魔神はタモと出そうとする松本アナを制止させて引っこ抜こうとした、そのとき。すっぽ抜けたマダイは海面を漂った-そして、劇的な、コツン!

大魔神 こらぁ、ワザとだろう! でも、ちゃんとハリに掛けていなかったオレの責任だ。ああああああ。

松本アナ …。

漫才のネタでも浮かばないような幕開けだった。浮かんで消えていったのはマダイだったが。

横浜・八景島シーパラダイスの三角屋根の水族館が手をのばせば届きそうな、そんな場所が太田一也船長の選んだ漁場だった。

秋が深まるとこの場所でマダイが釣れるのだ。しかも3~5キロ級の大型が必ず釣れる。結果からお伝えすると、残念ながら、対決でバチバチ火花を散らす2人にはこなかった。

ともに手のひらサイズで逃がした以外では大魔神が2匹、松本アナは1匹。しかも残り30分の間に立て続けに釣れてくれた。途中、目立った反応もなく、終盤だけマダイの神様がわざわざ2人にあいさつをしてくれたようだった。

残り時間7分で大魔神のサオがキューンと曲がったが、釣れたのはまるまると太ったイナダだった。太田船長は「マダイ狙いだけど、外道で釣れるイナダ、これがうまい。しかも30センチ後半の大きいアジ、それと仕掛けをダメにしちゃうサバ。今年はこれ、全部おいしいんだ」と説明して、さらに「これからはクロダイやイシダイも抜群にいい脂乗りをしている。東京湾は外道でも手を抜いてないんですよ」と笑って話した。

しかし、この対決の真の勝者は誰だったのか?

大魔神 オレはこの対決だと実力を発揮できない。はぁ、しかも天敵にみごとにやられた。

松本アナ いいんです。私には松本サイズという定番の小物が似合っているから。対決といっても私はサンスポ連合軍だから。これでいいんですよ。

そう、2人が声を合わせた結果というのが、洋上と宴会で絶対に酔わないという都市伝説を持つサンスポ川目梢記者だ。船中で最初のマダイを釣り上げ、オマケのクロダイも立派な大型だった。

川目記者 すみません。急きょ、席が1つ空いたから太田屋さんからサオを借りて、クーラーボックスも持ってきていないから…松本さん、私の釣った魚たち、持って帰ってね。

船中では常連さんが4・4キロを釣りあげた。「仕掛けを回収しようとしたら、ガツン。食いあげてきました。八景沖のマダイ、元気がいいですね」。何が起こるか予測不能-。それが秋の八景沖なのだ。

もともと、この対決はサンスポでコラムを執筆する松本アナと、日刊スポーツ釣り面の“カオ”の大魔神で「大きなマダイを釣る仕掛けの開発」という野望があって、その延長線上のマダイでの対決なのだ。大魔神の誕生日の来年2月22日にヤマリアから「タイ魔神」という名称で発売予定となっている。すでに2日前の4日にサンスポでは、この模様が掲載された。バックナンバーの販売もあるようですよ。

大魔神 結果ではない。楽しく釣りができたことに意義がある。マダイはいるんだ、大きなマダイはまだまだいる…。えっ、怒ってなんかないですよ。

松本アナ 今度はサンスポの船宿で、新年になったら正月マダイを釣りましょう、いや開催年だから五輪マダイですな(笑い)。

それぞれも思いが交錯する中、ウキウキだったのは川目記者だけ。

川目記者 だって「釣りバカ日誌」のロケが行われた釣り宿ですよ。大興奮できた1日でした。あー、釣り、って面白い。

いつもの光景。次戦はサンスポの宿になりそうだ。そうそうタコボウズ記者(寺沢です)は11月1日から社会面担当になります。今後も釣り面、よろしくお願いしますネ。【寺沢卓】

▼八景「太田屋」 【電話】045・782・4657。マダイ乗合船は午前6時30分集合、同7時15分出船。沖あがりは午後3時。エサ(オキアミブロック大と小1個ずつ)&氷付きで1万1000円、女性と中学生以下は5500円。ときどき通常の乗合船で教室も実施しているので、HPをチェックしてね。