今年もコラボ釣り企画、やります。日刊スポーツ代表はプロ野球評論家の「大魔神」こと佐々木主浩氏(53)、サンスポ代表はニッポン放送「ショウアップナイター」の実況でおなじみの松本秀夫アナ(59)。両者が千葉・勝浦興津港「第五庄之助丸」で、生きイワシを使った五目釣りで対決した。昨年は4戦して、佐々木氏の1勝2敗1分けだった。2021年初戦はビジターゲーム。さて、結果はいかに?

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「あーっ、楽しい!」。大魔神の雄たけびが右ミヨシ(最前方)から勝浦市の興津沖に響き渡った。サオが満月にしなり、巻き上げの途中でも頭を振って暴れ回る。海面から、見るからにおいしそうなマハタがたて続けに上がってきた。

生きイワシを落とし込み、着底したら1~1・5メートルほど上げる。時にはさらに1メートルほどサオをシャクって誘う。1998年にセ界を制し、西武に勝って日本一にもなったクローザーの決め球「フォークボール」ならぬ、イワシをゆっくり落として食わせる「落ちパク」作戦で、確実にキロ級のマハタを打ち取っていく。「この釣り、最近はやっているでしょ。実はやりたかったのよ」。マウンド上ではなく、船上で高笑いした。

昨年から始まったこの企画、新型コロナウイルス第3波のため、当初予定していた1月の今年初戦を延期していた。今回は本命ヒラメ、釣れなければマハタ1匹の重量審査の勝負とした。

朝6時の出船直後から約2時間ほど近場の水深20~30メートルほどの砂地に入ったが、アタリすらなかった。釣行(3月23日)の前日まで3日間にわたって海はシケていた。「南風が吹いて、底荒れした影響が残っているかもしれません。8時40分が満潮ですので、潮が動き始めたらチャンスが来ると思います」(庄之助丸・秋葉庄之助船長=44)。

下げ潮のタイミングを見計らって、ポイントを砂地から同じような水深の岩礁地帯に移動した。オモリを小突いて丁寧に底を確認し、1~1・5メートルほど誘い上げる。その途端、食いが立ち始めた。

野球で言えば、打順が1巡するまで動かなかった試合が、目まぐるしく動き始めたようなもの。示し合わせたかのように、大魔神のサオも松本アナのサオも引き込まれた。2人とも最初は獲物をバラした後、小型マハタ、カサゴと釣り上げる。投手戦が一転、乱打戦になってきた。野球も釣りもこうじゃないと、面白くない。

その直後、大魔神のサオに明確なアタリが来た。合わせて食わせたが痛恨のすっぽ抜け。「悔しい!」。大声を上げ、思わず頭を抱えた。次にはサメらしき物体にハリスを切られた。

仕掛けをじっと見て、冷静に気を取り直す。「そうだ、1本針に変えよう」。ヒラメ対策で付けていた孫針が切られたのを見る。針とハリスを結び直して、仕掛けを変える。この1本針へのスイッチが名采配だった。しっかり食わせて2キロ前後のマハタを連続でゲットし、引き離した。

一方の松本アナは? リスナーからプレゼントされた「ひでお」の名入り帽子、オリジナルの仕掛けで臨んだが、このタイミングで4連続バラシ。ハタならぬ、パタッと勢いは止まった。エラーを重ねて失点して試合を落とした昨年のセ界守備率ワーストチーム、阪神に似た展開だ。終盤ウッカリカサゴ、アヤメカサゴなど、カラフルなカサゴ類を釣り続けて抵抗するが、釣果の差が広がってしまった。「マッチャン、タナ(狙う位置)が低いんだよ」。大魔神にはアドバイスする余裕すらあった。

午前11時30分の沖上がりの後、港に戻っての検量タイム。お互いヒラメは釣れなかったが、マハタは確保している。松本アナは最大1・8キロ。「マッチャンにしたら大きい方よ」と笑う大魔神、4匹あるうちの2番手を選んだら1・82キロあった。最大は2・35キロ。「負ける気がしねえよ」。もう、ほえまくる。

ビジターゲームで勝ち、次はホームで迎え撃つ。「いやぁ、面白かった。次の乗っ込みのマダイ勝負で、連勝だ!」。すっかり上機嫌だった。

<対決メモ>

大魔神の現役時代から松本アナとは仲が良く、2人とも釣りが趣味だった。現在、それぞれ日刊スポーツとサンスポで釣り面に登場しているため、「いつか両方の紙面で同じ釣り物を載せよう」と約束していた。

19年12月、金沢八景「米元釣船店」(サンスポ推奨店)のエサのタチウオで対決が実現し、いきなりまさかのドロー。20年に入って第2戦は久料「魚磯丸」、第3戦は富浦「共栄丸」と日刊スポーツ指定の宿でのコマセマダイで、松本アナ、大魔神の順で勝利した。同年6月の第4戦、本牧「長崎屋」のマダコ対決は松本アナが3・53キロの大ダコを上げ、大逆転。対戦成績は、大魔神の1勝2敗1分けだった。

また、釣り具メーカー「ヤマリア」からは、2人が共同プロデュースしたマダイ仕掛け「タイ魔神」が、佐々木氏の誕生日である2月22日に発売された。

▼勝浦興津港「第五庄之助丸」【電話】0470・76・0510。イワシ泳がせのヒラメ・マハタ五目は午前5時30分集合、同6時出船。エサ20匹と氷付きで1万2000円。同船して狙うスロージギング同1万円。ルアーは必ずバーブレスフックで。キャストはアンダーのみ。