40センチを超えるケンサキイカ(通称・大剣)を求めて先日、福井・高浜町の「釣船釣宿由幸」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)の船で同沖へ出た。中層には大、小のスルメイカが群れ、ケンサキは底べったり。渋い釣りだったが、エサを付けたオモリグで底付近をじっくり探ると、大剣や良型がポツリポツリと反応し、竿頭で胴長30~45センチを9匹、10~30センチのスルメを6匹釣り上げた。全員(5人)が狙い通りに40センチ超を仕留め、ロッドの胴をギュンギュン絞る好ファイトを楽しんだ。【近江康輔】

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「迫力満点やな。こんなでっかいケンサキが釣りたかったんや。引き味最高やね」。胴長45センチ。文句なしの大剣を手に明石の田中智之さんが喜びを爆発させた。若狭湾は親イカ狙いの好機で、数は望めないが一発大物が狙える。

だが、スルメイカが多く、ケンサキのタナは底べったり。じっくり待って乗せるしかない。「こんなときはエサが有効なんですよ」。その言葉どおり、キビナゴをハリガネでエギに巻き付けたオモリグで底をたたき、20秒ほど止めるとグッググー。田中さんのロッドがギュンギュン曲がり、開始早々、あずき色をした見事な大剣を仕留めた。これを見た記者も、おるおるとにんまり。実は1カ月前、周辺のポイントで40~43センチを3匹釣り上げていて、そのときの感動が脳裏によみがえる。記者も、田中さんと同様のエサエギのオモリグで挑戦。3段しゃくりのあと、置き竿のロングステイでアタリを待つ。

すると、竿先がわずかにもたれるような居食いのアタリをとらえた。疑心暗鬼にフッキングするとグングングンと逆噴射をして暴れる。手応えは十分。ロッドのテンションを抜かないように慎重に引き上げたのは42センチ。田中さんよりは、少し小さいが、納得のいくサイズに喜びが込み上げる。

こんな釣れだしなら、2桁いけるかもと期待したが、そう甘くはなく、その後は微妙な小アタリでムギイカ(小型のスルメ)が連発する。それでも、ケンサキが掛かれば良型ばかり。小さくても30~35センチ。手間だが、エサをひんぱんに付けかえながらポツリポツリと釣っていく。

一方、浮きスッテを付けた胴突き仕掛けで狙う地元の森口栄さんや、イカメタルで根気よく竿を振っては止めを繰り返す吉田正明さん(加古川市)らも、粘り勝ちの40センチ超を釣り上げてガッツポーズ。結局、大剣の全員安打で午前0時前に納竿した。竿頭は田中さんで30~45センチのケンサキを9匹にスルメを6匹だった。

日暮れまでの2時間は魚礁でお土産釣り。タイラバやオキアミを刺しエにした胴突き仕掛けで五目釣りを楽しんだ。田中さんが35センチのウッカリカサゴをダブルで食わせ、森口さんは40センチの高級魚・キジハタをゲット。吉田さんも25~30センチのレンコダイや40センチのマアジを食わせるなど、イカ以外のお土産もしっかりキープ。満足のいく釣行だった。

【今後の見通し】大型のケンサキは産卵が終わるまでが釣期。あとしばらくは狙える。例年、7月初旬になると西から小、中型の群れが回遊し始め、数釣り期に入る。梅雨が明けると最盛期で、タナも上がり、面白くなるだろう。日暮れまでは、魚礁でマダイやレンコダイ、良型のマアジが狙える。

【問い合わせ】釣船釣宿由幸【電話】0770・76・1307。仕立て船料金は6人まで6万4000円(1人増し7500円)。出船時間は要確認。若狭マハタのフルコース、ふぐ料理宿泊プラン(1泊2食付き1万6500円)も用意されている。素泊まり朝食付き4800円。漁港の駐車料は別途500円が必要。

【交通】舞鶴若狭自動車道の舞鶴東ICを出て府道28号を北上し小倉の信号を右折。国道27号に入り鹿原の信号を左折。府道772号、福井県に入り県道21号を経由。看板案内に従い釣船釣宿由幸へ。