山梨・桂川で1日、アユの自由釣りが解禁となった。解禁を待ちわびたファンの中には、ヘッドライトを点灯させ、日付が変わると同時にサオを出す人までいた。島田放水路には日の出前から50人以上のファンが集結。明るくなると同時にサオを出していた。

自由釣りとは俗にいう“コロガシ”や“しゃくり”と呼ばれるもの。針6~10本の仕掛けを上流に向かって投入し流れに乗せるのがコロガシ、下流に投入し上流に向かって引き上げるのがしゃくりだ。アユ釣りというとまず友釣りを思い浮かべるが、自由釣りのほうが歴史は長い。桂川漁協の細田充さん(70)によれば、「友釣りのほうがメジャーですがコロガシやしゃくりのほうが歴史は長く、特に年配の方にはコロガシしかやったことがないという方もいます」という。

4~5月ころに放流した湖産アユはこの時季、産卵シーズンを迎え、1匹のメスに対して10匹以上のオスが群れを成す。その群れに当たれば、ダブルやトリプルなども期待できる。

この日、細田さんも「何年ぶりかな」と笑いながら、梁川地区塩瀬でサオを出した。「狙うポイントは友釣りと同じ」とし、「上流に投げたら下流に向かって扇型にサオを振る。流れに添って泳ぐアユを横から掛けるためです」と説明。仕掛け投入後、約3分ほどで1匹目を釣り上げた。近くで釣っていた釣り仲間は「朝5時半くらいから30分くらいで10匹以上釣れてますよ」とご満悦だった。

さらに上流で釣っていたアユ釣り歴58年というベテランは「僕らが子どものころはアユ釣りくらいしか遊びがなかったし、当時はまだ友釣りはなかったので、コロガシでアユ釣りを覚えた」と笑った。「あのころはアユを買い取ってくれる業者がいて、そこにアユを売ってお小遣いを稼いでいました」と当時を振り返った。同氏はダブルも含め約1時間半ほどで20匹以上を釣り上げていた。

細田さんは「コロガシやしゃくりは、友釣りよりも根掛かりや仕掛けが絡む可能性が高い。そうなると切るしかないのですが、絡むなどで仕掛けが回収できるならその場に捨てず、持ち帰っていただけるとうれしいです」と呼び掛けた。