日刊スポーツ、日刊銀鱗倶楽部主催「2021 日刊スポーツ杯 和歌山・串本磯グレ釣り大会」が、11月28日、南紀・串本大島、出雲崎の磯で行われ、45人の参加者がグレの1匹長寸を競った。全体的に潮の動きは鈍かったが、仕掛けを工夫しながら競技終了まで良型を求めて熱戦が繰り広げられた。優勝は内匠喜久さん(貝塚市)で40センチのグレを仕留めて見事、初優勝。最多匹数賞は、32・3センチまでを36匹釣り上げた奥出弘一さん(和泉市)に輝いた。

前回、中紀・大引大会で最多匹数賞を獲得した内匠さんが、型狙いでも実力を発揮。技ありの40センチを仕留めて優勝した。上がった磯は赤島のハナレ。今回も朝から沖めの上層に湧く、小グレを釣りまくるが、イスズミが回遊しだすとペースダウン。それならと竿2本沖に5杯のまき餌を投入。磯際を狙った2ヒロ半のタナで良型に口を使わせた。

仕掛けは全遊動。ヒットパターンは針上20センチにG8のオモリを付け、V字を描くように仕掛けを沈めてイスズミをかわし、ラインを張り気味にしてグレを食わせるというもの。餌も食い込みがいい生オキアミのむき身を使い、針先を出すことでイスズミをかわした。

これらのテクニックは所属の釣りクラブ「銘松会」の会長・中谷均氏(日刊FPCで審査委員長)らの指導のもと、週1回のペースで通い続ける大阪湾の波止で身につけたもの。最高で1日に130匹のグレを食わせたこともあるという。そんな、愛弟子の活躍に中谷氏も目尻を下げてにっこり。「波止で100匹釣れれば、磯ではもっと釣れるはずというのが彼の持論。きょうは数は伸びなかったが、ふだんから丁寧な釣りを心掛けてきた成果が出ましたね」と賛辞の言葉を贈った。

内匠さんの目標は「G杯争奪全日本がま磯(グレ)選手権」で優勝すること。「コロナ禍で競技大会が開催できない状況が続いていますが、久々に緊張感をもって釣りができた。これからも釣技を磨き、日本一を目指します」ときっぱり。さらなる飛躍を誓った。【中村和嗣】

2位・田井健夫さん 出雲の磯の船着きに上がった。水深が深くオキアミの刺し餌で竿1本半のタナを探っているとガツンと食ってきた。良型だったので優勝できるかもと期待したが2位で残念。もう少し深ダナを探っていればよかったかも。来年はもうひとつ上を目指します。

3位・中村治さん カネカケに渡礁した。逆光だったので遠投はあきらめ、ウキが見える範囲を釣りました。餌、まき餌ともにオキアミのボイル。ラインは1・75号でタナは2ヒロ。早朝、ウキを沈ませてなじんだときに釣れた。優勝できなくて悔しいです。

<奥出さん36匹最多匹数賞獲得>

普段は重い仕掛けでグレを釣るのが好きなんです、という奥出さん。大会の前週に親友の内匠さん(優勝)と試し釣りで串本を訪れた際、内匠さんから「ここは重い仕掛けではグレは釣れないよ」と助言をもらい、0号ウキを使った軽めの仕掛けで挑戦。これが見事にはまり、尾長交じりで20~32・3センチを36匹釣り上げ、最多匹数賞に輝いた。

渡礁したのは、出雲の地方寄りの磯。逆光の中、まき餌をしていると沖の沈み根の際に浮き上がる小型のグレを発見。2、3杯のまき餌を打ちながら完全フカセ釣法(ハリスはフロロ1・5号で竿2本分、タナ1ヒロ)で狙うと2時間ほどの間、入れ食い状態になった。

だが、その後は30センチ超えの尾長グレが回り出し、針をのみ込まれてハリス切れ。それならと、ハリスを2号に交換。G3、G5のオモリを使い分け、ウキを沈めながら1~1・5ヒロのタナで食いをつなぎ、2番手に17匹の差をつけてフィニッシュした。

審査では満足そうにカゴいっぱいのグレを提出。「内匠さんが40センチを仕留めたみたいなので、数釣りに専念してよかった。これからも、2人で競い合いながら頑張ります。次は優勝を狙いますよ」と目を輝かせた。親友との絆が、大物の食いを引き寄せる。

○…他魚種賞 37・5センチブダイ=岡田英明さん(富田林市) ナガヅロに渡礁するが、朝から潮が動かず、刺し餌(オキアミボイル)が残る状態で、周りもグレの反応がなかった。潮待ちの間、磯際をタナ4ヒロで探っていると、ブダイが3匹釣れました。次回は、本命を釣って上位入賞を狙いたいです。

◆コロナウイルス対策としてマスク、アルコール消毒を徹底して行ったほか、開会式を省き、表彰式も簡素化した。上位入賞者以外の表彰、賞品の寄贈については郵送する形をとることでソーシャルディスタンスに配慮した運営を行った。