日ノ岬沖で体高があるジャンボイサギが釣れだしたと聞き3日、日高阿尾港から出る「共栄丸」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)に乗った。あいにくの悪天候で波風があり、イサギの活性が上がるのが、遅かったが、昼前になると入れ掛かり。短時間の時合をものにした竿頭で27~39センチを20匹ゲット。ベテランのタナ取り、時合を逃さない手返しの良さが光った。イサギはまだハシリで、これからが大型狙いの本番。連掛けも増え、どんどん匹数が伸びていくので楽しみ。【近江康輔】

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暖かい春の陽気が続いた数日前には61匹の大釣り。今年はイサギが好調だなと勇んで出掛けたが、花冷えと荒れ模様の海況に大苦戦。それでも下り潮に変わった途端に1投1匹の入れ掛かり。入ったのは日ノ岬の沖で水深35~45メートル。本来なら、底上4~10メートルでアタリが続くのだが、悪天候に加え、潮の動きも悪いのか、イサギの活性がなかなか上がらない。午前11時前になってようやく食いがよくなり、底から5メートルまでのタナで次々にアタリが出た。

手返しとタナ取りを心得た常連たちが、このままでは終われないと猛チャージ。中でも、目を引いたのは船尾の山本育男さん(有田市)。潮下で良型を狙い撃ちにする技をみせた。底近くの小型を避け、ほんの少し上層を狙い、体高がある茶色の良型ばかりをゲット。

潮の速さを見極めながら1メートルずつ糸を送っては良型のタナに仕掛けをキープし、39センチを食わせてにんまり。「こんなでっかいイサギを釣りにきたんや。こんなのが数釣れるのが日ノ岬の魅力なんよ」と手早く獲物を取り込んでは、次を狙っていく。

その隣では、月2回ペースで通い、毎年、40センチ級を2桁釣っているという斉藤靖さん(堺市)も39センチを筆頭に快調に竿を曲げ、大忙し。「きょうは潮が速いからイサギはあまり浮かないよ。底まで仕掛けを落とし、3メートルほど上げては、また落とすことを繰り返すとフォール中によく当たってくる」と教えてくれた。

荒れ模様で船酔いの記者も、2人から聞いた釣り方をまねるとアタリが出だし、気分の悪さも忘れ、夢中で30~32センチを10匹キープ。竿頭は山本さんで、わずか2時間ほどの間に27~39センチを20匹釣り上げた。「もう少し活性が上がるのが早かったら、50匹は釣れたと思う。産卵前の荒食いが始まると、仕掛けを落とせば次々掛かるが、この時期はテクニックが必要なところが面白いんです」。さすがベテラン。タナを見極めて釣っていくイサギ釣りのだいご味を心得ている。

日ノ岬沖のイサギはなんといってもサイズの良さが魅力。体高のある見事な魚体、カンカンとロッドを引き込む締め込みがやみつきになる。「今のイサギは冬場に蓄えた脂がよく乗っていて、抜群にうまい。刺し身やあぶりで食べると最高ですよ」と船長や常連たちが口をそろえる。この日は条件が悪くて匹数は伸びなかったが、日ノ岬らしい迫力のあるジャンボイサギを目にし、これからの本番に意欲が出る釣行だった。

【今後の見通し】イサギは水温の上昇とともに活性が高くなり、数、型ともに期待できる。食いが復調した7日は竿頭で27~38センチを43匹釣っている。日ムラもあるが、釣り人が少なめの今が狙い目。5月初旬には産卵前の荒食いが始まり最盛期を迎える。

【問い合わせ】共栄丸【電話】0738・64・2318。乗合船料金は1万2000円(餌、氷、仕掛け1つ付き)。出船時間は要確認。5月に入ると午後便も出船予定。貸し竿は電動リール、竿受け付きが2000円、手巻き用1000円。

【交通】阪和自動車道の御坊ICを出て右折。野口新橋を渡り、県道26号を走って財部の信号を右折し国道42号を北へ。JR紀勢本線の紀伊内原駅前の信号を左折。県道189号、同24号を走り、阿尾港へ。