本格的な春の訪れとともに、淡水ではブラックバスのルアー釣りがシーズン真っ盛りとなる。今年は冬から春にかけて天候が不安定で、気温も水温も乱高下が激しかった。ここに来て陽気は落ち着きそう。全般に遅れ気味だったスポーニング(産卵)の時季を迎え、水温も安定すれば、50センチを超える大型バスもヒットしてくる。主な釣り場の狙い目を紹介しよう。


茨城・新利根川「松屋」

スポーニングの第1弾が、川に突っ込んできていると思われる。この時季は霞ケ浦(本湖)よりも、川筋に分がある。霞ケ浦から新利根川へと流れ込む水量が増える。田植えに必要な水を取り込み、川から用水路への「かんがい」へと当てるためだ。

豊富な水がバスにとって好条件となる。常に川へと温かい水が入るため、水温が18度前後と安定するし、エサとなる小エビ、小魚類も入ってくるため、活動も活発になる。時折吹き抜ける強風対策として、蛇行している風裏に入ればそんなに影響はない。

狙いは川筋のアシ際の浅場。水深50センチから1メートル程度でいい。ダウンショットリグ、テキサスリグ、スモラバ、8分の1オンス(約3・5グラム)と軽めのジグヘッドにグラブをつけてアシ際ギリギリに落とし込む。ピンポイントで狙う「縦の釣り」が必釣パターンだ。

岸際の乱杭がアシの間にあったり、沈んで舟があるとか、木が覆いかぶさっているといった複合要素が入れば、バスが潜んでいる条件は増す。雨で南からの温かい風が吹き込んで川面が波立てば、さらに警戒心が薄れる。「ここから9月までがハイシーズン」(松田健一店主)。

新利根川の川筋ではこんなブラックバスが上がることも
新利根川の川筋ではこんなブラックバスが上がることも

千葉・亀山湖「ボートハウス松下」

「デカものは表層狙いです」。松下広明店主はこの時季ならではの釣り方を伝授してくれた。

スポーニングは遅れ気味だったが、ようやく湖のあちらこちらで産卵床が見えるようになってきたという。石や砂利などのある固い岩盤地帯の浅場で、湖面に見えているバスを狙い、目の前を何回もルアーを通す。毎年有効なルアーはスイムベイトや、ワームのサカマタシャッド。いらついた獲物が文字どおり、食ってかかるという作戦だ。「サイトフィッシング(見釣り)が8割、あとは関係ない場所をサスペンドミノーやスピナーベイトで引いてドカンとヒットするのが2割です」。

例年なら5月半ばごろまでだが、乗っ込みのスタートが遅かった分、今年は6月近くまでこのパターンが有効かもしれない。

亀山湖の傾向として、50~60センチ級の大型バスを狙うには、大型ルアーを使う。ビッグベイトは20~30センチが標準だ。これはワームも同じ。「8インチ(約20センチ)とか10インチ(約25センチ)といった大きなワームをノーシンカーで表層に漂わせます」。水が濁っているイメージも多いが、この時季はミジンコの影響で水の色がクリアに澄むことが多い。同系色の薄いスモークだけではなく、赤やピンク、レモンイエローなど派手な色を使って、バスにアピールすると効果があるともいう。

亀山湖では浅場の大型バスを見つけて狙う
亀山湖では浅場の大型バスを見つけて狙う

■千葉・三島湖「ともゑ」

釣果は日によってバラツキがあるが、全域でヒットしている。3月下旬に17度台まで上がった水温が、同月29日の冷たい雨で13度まで下がり、4月に入って16度台まで持ち直してきたという。森和人店主は、「全般に暖かくなると、数も2ケタに伸びるし、40センチ台後半以上の良型もヒットします。これからが数、型ともに見込めるトップシーズン」と話す。ヘラブナはすでに放卵し始めているとも付け加えた。

ここのスタンスは、「それぞれが思い思いの釣りで楽しんでもらうこと」。さまざまなルアーを持参し、ポイントも数多く回っていろいろなことを試してもいいし、1つのことにこだわってやり通してもいい。「こだわっている人の方が釣れている気がしますよ」(森店主)。

三島湖でヒットした50センチのブラックバス
三島湖でヒットした50センチのブラックバス

■山梨・河口湖「ハワイ」

スポーニング部隊の早い組がシャロー(浅場)に突っ込んで来ている。この時季ならではの狙い場所で、40~50センチ級がヒットしている。ポイントは店前や山の神川河口、北中学校前、広瀬ワンドなど。有効なのはシャッドやスピナーベイト、ラバージグ、ポークルアーなどいろいろだ。

大気が不安定な影響からか、水温は9~12度と不安定。「その代わり、運とタイミング次第で今は釣れれば一番デカいのがヒットする」(渡辺一孝店主)。その言葉どおり、今月に入って6日は46~57センチ、11日は43~46センチ、12日は43~55センチと、良型がヒットしている。これが15度を超える水温になると、小型までが動き出す。初心者でも狙える最も楽しい時季となる。

河口湖は今が一番大きなバスがヒットする時季
河口湖は今が一番大きなバスがヒットする時季

■山梨・西湖「白根」

ゴールデンウイークあたりにバスは最も楽しめそうだ。「水温が例年より1度近く低いため、半月から3週間くらい動きが遅い」。渡辺安司店主は現状を説明する。まだ宙層から深場にいるため、シャッド、クランクベイト、バイブレーションなどで幅広く探っている。

西湖には明確な傾向がある。この時季になるとワカサギが産卵のために接岸してくる。産卵を控えたバスはこれを捕食しようと追いかけてくる。こうなれば大型ヒットのチャンス。ワカサギカラーのフローティングミノーが有効になってくる。

「今度の新月の大潮回り(4月28日)の前後が狙い目かもしれません」(渡辺店主)。一般に、満月と新月の大潮回りに一気に卵を持ったメスのバスがこれを放すとされている。チャンス到来とみた。

3月下旬から同湖で解禁となったヒメマスは、湖面近くを飛んでいるユスリカを食べようと、表層に上ずっているという。これも釣るためのヒントになる。

西湖のブラックバスはワカサギの産卵が始まれば浅場の表層がチャンス
西湖のブラックバスはワカサギの産卵が始まれば浅場の表層がチャンス

注意事項

◆確認 出舟や帰着の時間は各釣り場で季節ごとに変わる。ボートの料金も含め、確認する。釣り宿のサイトによっては、釣果が出た日の水温、場所、ヒットルアーなどまで明示されている。ワーム禁止などのルールもあるので、問い合わせておく。

◆バーブレス 魚を傷めないため、ルアーのフックの返しはあらかじめペンチでつぶしておく。

◆キャスト ルアーを振り込む時には、必ず前後左右を確認する。特に後ろ。おかっぱりだけではなく、ボートでも同じ。岸際を攻めていると、木の枝やアシなどに引っかけやすい。

◆帽子とサングラス 頭部を保護する帽子、目元を保護するサングラスは必需品。獲物が暴れて、ヒットしていたはずのルアーが思い切り外れたり、湖面から回収する時に勢いよく飛び出して直撃するのを防ぐため。決して格好をつけているわけではないので、念のため。

◆暑さ寒さ対策 標高の高い湖に行く場合、早朝にまだまだ冷え込む。予期せぬ強風にも見舞われる。逆に日中いきなり気温がグーンと上がる時も。事前に天気予報をチェックして、厚手の服装を用意したり、飲み物などを多めに調達しておく。


◆スポーニング ブラックバスが3月後半から5月上旬あたりに行う産卵行動。卵のふ化に必要な日当たりのいい浅場で行う。岩とか砂利といった底が硬い場所を選ぶ。産卵前の状態は「プリスポーン」。越冬したバスが産卵を控え、体力を蓄えるために荒食いする。フナ、マダイなどが同様に春になって深場から浅場に突っ込んでくることを、釣り用語で「乗っ込み」と呼んでいる。