医師で作家の鎌田實さん(67)が、日常生活のちょっとした工夫で健康になり、10歳若返るヒントを教えてくれます。

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 その昔、媚薬(びやく)といわれたチョコレートだが、研究が進み、健康にうれしい効果をもつことがわかってきた。

 帝京大学の研究では、お通じがよくなるという結果が出た。カカオ分を70%含有する高カカオチョコレートを毎日25グラム、2週間続けて食べてもらい、ホワイトチョコレートを食べるグループと比較した。

 その結果、排便回数が摂取前の2・8回から、摂取後1週間で3・9回に、2週間で4・9回に増えた。一方、ホワイトチョコレートを食べたグループは、摂取前とあまり変わらなかった。

 愛知学院大学の研究では、高カカオチョコレートを食べた人たちで血圧が高めの人は、正常な血圧の人に比べ、より血圧が低下した。血液中にある余分なコレステロールを肝臓に運ぶ善玉のコレステロールも増えた。

 さらに脳由来神経栄養因子の血液濃度が上がった。この因子は、脳神経細胞の成長や再生に関係するといわれ、記憶に関係する海馬にも影響を与える。

 因子を増やすカカオは、アルツハイマー病やうつ傾向の人にもいい影響を及ぼす可能性があるという。

 さらにカカオのポリフェノールが、動脈壁の炎症にも抑制的に働くため、動脈硬化のリスクを下げる可能性もある。

 高カカオチョコレートを少し食べるだけで、腸の機能をよくしたり、血圧を下げたり、頭の働きをよくしてくれる可能性がある。

 残念ながら、媚薬の効果はわからないが、チョコレートの健康効果はありがたいものである。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日、東京生まれ。東京医科歯科大医学部卒業後、長野県茅野市にある諏訪中央病院の医師になる(現在は名誉院長)。チェルノブイリ原発事故の患者支援、イラク難民支援を続け、東日本大震災後の被災地支援にも力を入れている。著書「がんばらない」など多数。