元モデルの歯学博士・照山裕子さんが、口臭が気になる、歯周病が進んできた…歯と口の悩みなど、皆さんの悩みに回答します。

 Q 歯ブラシは、硬さ、大きさ、形もいろいろです。お勧めはありますか。

 A 教科書的には、柄がまっすぐに近くヘッドが小さいものが推奨されています。ヘッドの大きさは自分の親指の幅と同じくらい、毛は3列が理想的です。私は友達に歯ブラシをプレゼントすることが多いのですが、「こんなに小さい歯ブラシ、初めて!」と驚かれます。お口の小さい女性であれば子ども用でも十分なくらいで、市販のものは大きすぎることもあります。患者さんに普段使っているものを見せてもらうと、自分の歯に合っていない歯ブラシを使っている方は結構いらっしゃいます。

 柄は、ペングリップで持ちやすいように細めが好ましいです。山切りカットの、毛先がギザギザした歯ブラシも人気ですが、使い方を誤ると歯肉を傷つけることがあります。フラットなものを角度を変えて、汚れのたまりやすい場所に的確に当て、細かく振動させるのがブラッシングの基本です。慣れるまでは鏡を見ることもポイントです。

30代以上の約8割が罹患していると言われる歯周病の方には、男性が好む硬めの毛先はあまりお勧めできません。歯と歯肉の境目がターゲットなので軟らかめのものを使って下さい。たばこを吸う男性は、ヤニを取ろうと、硬めの歯ブラシと粒子の入った歯磨き粉を使ってゴシゴシと磨いてしまうようですが、歯の表面に細かい傷や溝ができてしまいます。その凹凸にさらにヤニがつく。悪循環です。ヤニを歯ブラシで落とすのは難しいと割り切って、歯科医院で定期的なクリーニングをしコーティングしてもらう。歯の表面をツルツルにすれば、少しはヤニがつきにくい状態にもなります。

 年配の方の中には、天然素材だからと豚毛の歯ブラシを使う人がたまにいますが、衛生面で心配です。ナイロン製で、それも色がついていない透明のものが好ましいです。

 歯ブラシは月に1回替えるのが理想です。ナイロンが汚れを吸うので衛生的でなくなりますし、弾力が低下し毛先が開いてくる。開いたものを使うと、歯肉を傷めてしまいます。月が替わったら歯ブラシを替える習慣をつけるとわかりやすいと思うので、参考にしてみて下さい。

 ◆照山裕子(てるやま・ゆうこ) 歯学博士。厚労省歯科医師臨床研修指導医。歯と全身の関わりについて幅広く学んだ経験を基に、機能面だけでなく審美的要素にもこだわった丁寧な治療がモットー。分かりやすい解説でテレビ、ラジオにも多数出演している。学生時代はモデル事務所に所属。近著に「歯科医が考案 毒出しうがい」(アスコム)。