「性器ヘルペス感染症は、ヒト単純性疱疹(ヘルペス)ウイルス1型、または2型による感染です。初感染で非常に激しい症状が出るのが特徴です」と話すのは性感染症に詳しい「プライベートケアクリニック東京」名誉院長の尾上泰彦医師。

 原因はヘルペスウイルスが皮膚や粘膜にある小さな傷から侵入、増殖する。潜伏期間は2~10日間。男性器では亀頭や陰茎(ペニス)に多くみられる。

 「皮膚粘膜症状が出てくるとウイルスが排出されるため、他人にも感染させます。しかし、性器ヘルペスはこうした症状だけの病気ではありません」(尾上医師)

 「初感染」で性器にかゆみや違和感を伴う1~2ミリの水泡(水ぶくれ)が複数現れる。その後、水ぶくれが破れ、痛みのある浅い潰瘍を形成する。感染したときに症状がなくても後で発症することがある。

 「ウイルスがどんどん増殖すると、皮膚から下の神経を伝って神経節の中で潜伏します。神経節からはウイルスのDNAが検出されます。こうした潜伏感染のため、性器ヘルペスの本体は、皮膚粘膜の病気ではない“神経のウイルス感染症”だといわれるのです」(尾上医師)

 女性の場合も、性器ヘルペスでは痛みやかゆみ、発熱、ぼうこう炎のような症状、そけいリンパ節の腫れなど、激しい症状が特徴だ。

 「大小それぞれの陰唇の潰瘍やびらんに注意しましょう。子宮膣(ちつ)部にもびらんが形成されることがあります。男性に比べて粘膜部が広い女性のほうがリスクは高いのです」(尾上医師)

 免疫力を低下させる女性ホルモンの影響で、妊婦や排卵後は感染しやすいという。