性感染症に詳しい「しらかば診療所」(東京都)の井戸田一朗院長はこう指摘する。

 「例えば梅毒の場合、治療薬のペニシリンに対する薬剤耐性の問題がなく、検査方法も確立されており、感染症としても非常にマネジメントしやすい。にもかかわらず、まだこれだけの患者さんがいて、撲滅できない理由としては、症状がはっきりせず診断につながっていない人が結構いるためです」

 性感染症は現在、検査法も治療法もあるにもかかわらず、感染したことに気づかないまま、パートナーへと感染をひろげてしまう。

 現在、性感染症に関する検査が受けられるのは医療機関、保健所、郵送検査(自宅)に分けられる。匿名での検査ではフォローアップができないため、必要な検査や治療につながらないといった問題は以前から指摘されている。患者がはじめから医療機関を受診して検査、治療、教育まで受けられるような仕組みがあるといいが、プライバシーの問題等をはらむ難しさがある。

 井戸田院長はこうアドバイスする。「検査を受けるタイミングは、性感染症によって異なります。感染が心配される接触等があってから、梅毒では1カ月、B型肝炎は3~6カ月後、HIV(エイズウイルス)は2カ月以上経過してから受けてほしい。いずれにせよ、思いたったときが検査の受け時。とくにHIV感染については保健所で無料匿名で検査が受けられます。どこの保健所やクリニックでどんな検査をしているのかはHIV検査相談マップというサイトを利用すればよいでしょう」。HIVのほか性感染症の検査機関、相談窓口情報などを紹介している。HIV検査相談マップは(http://www.hivkensa.com/)