性感染症の感染に検査は不可欠。例えば梅毒では、原因である梅毒トレポネーマの検出が難しく、臨床現場では血清反応による方法が主流だ。梅毒患者から検出される「カルジオリピン抗体」を用いたRPRカードテストや、特異的梅毒トレポネーマを抗原とする検査法には、TPHA法、FTA-ABS法、TPLA法などがある。

 「プライベートケアクリニック東京」名誉院長の尾上泰彦医師はこう話す。

 「検体は病変部からとりますが、(染色して顕微鏡などで)直接観察する方法はほとんど行われていません。血液から梅毒血清反応を調べる検査が一般的です」

 感染のごく初期では陰性を示すことがあり、疑わしい場合は2~3週間後に再検査となる。「性器クラミジア感染症」では男性の場合、尿道炎や精巣上体炎を、女性では子宮頸管(けいかん)炎などを起こす。尿道からの分泌物、初尿などから核酸増幅法が一般的である。

 また、「淋菌(りんきん)感染症」は、男性では主に尿道炎、女性では子宮頸管炎を起こすが、淋菌の検出、尿、分泌物の核酸増幅法、咽頭感染はうがい液を用いて行われる。「性器ヘルペス」に感染すると性器に潰瘍や水泡ができるが、患部の抗原検査や遺伝子を増幅して病原体を検出する(核酸増幅法)。早期発見、早期治療のためには医療機関での検査を受けてほしい。