国立国際医療研究センター「エイズ治療・研究開発センター」岡慎一センター長への特別インタビュー第4回です。

 -HIV感染、エイズと性感染症との関係は

 岡氏 他に性感染症があるとHIVに感染しやすい。要するに炎症があると感染しやすい。つまり、梅毒、淋菌(りんきん)感染症(淋病)、性器クラミジア症になった人は、必ずHIVの検査を受けるべきだろう。HIV感染は他の性感染症と同じ土俵にいる、ハイリスクだということを理解してほしい。

 -最近、「いきなりエイズ」という言葉を耳にするが

 岡氏 「いきなりエイズ」とは検査を受けず、ある日突然、カポジ肉腫などの悪性腫瘍や日和見感染症を発症することを指す。HIVに感染した人は治療をしなければどんどん免疫が低下していき、ほぼ全員エイズを発病する。「いきなりエイズ」は年間400~500人にも上る。年間の新規感染及び発病者数は約1500人だから、全体の3割もいて大きな問題になっている。怖いから検査に行かない、という人もいるかもしれないが、本当は感染していることを知らないことのほうが怖いと思う。したがって、検査で早く発見することができれば、「不幸中の幸い」であり、“おめでとう”なのだ。

 -これを読んでいる人へひと言を

 岡氏 HIV感染の検査は、保健所で無料で受けることができる。わずかな血液でわかるから簡単だ。しかし、順番待ちなど課題もある。あるいは、無料ではなくても、自分でお金を払って病院で調べてもらってもいい。検査は1回5000円ほど。これで一生が決まるのならば安い投資ではないだろうか。検査を受けるのは自身の健康のためであり、社会のためでもあると思う。

 -非常に重要な提言だ。ありがとうございました。