性感染症を防ぐにはどうしたらよいか。性感染症に詳しい大阪市の「太融寺町谷口医院」、谷口恭院長に聞く後編。性感染症に感染しないためにはセックスをやめるしかないと説く一方、“互いに忠誠を誓ったパートナーとだけのセックス”が大切だという。

 「タイでは、自分の夫からHIVをうつされる妻が多くいます。いずれ日本でも、家庭内でHIV感染が注目される日が来るでしょう。タイでは“家庭内にもコンドームを”と訴える団体がいくつかありますが、これもまた、絵に描いた餅でしょう。2010年にウィーンで国際エイズ会議が開かれ、バラク・オバマ氏の異母姉であるオウマ・オバマ氏が“アフリカの女性は、自分の夫にノーと言えない”と述べました。タイでも日本でも女性がセックスの場面で弱い立場にいるという点で同じだと思います」。

 実は、谷口院長は、タイのエイズ患者やエイズ孤児を支援しているNPOの主催者でもある。

 「お互いに忠誠を誓うためには、相手を信じることと、相手が自分に誠実であることを実感できることが必要です。そして、相手が誠実であることを自分が実感できるまでは性交渉をもつべきではない。性交渉をもつべきでないのにノーと言えないのがアフリカであり、タイであるわけです。相手に誠実を求めるなら自分が誠実になること。それがお互いに忠誠を誓うことにほかなりません」と話す。「信頼」や「誠実」が究極の予防になるのではないか。

 「結局、お互いに忠誠を誓ったパートナーとだけするセックスが、安全、安心、幸福だということです。多くの人がすてきなパートナーとセックスを楽しめるようになればいいと思います」。(おわり)