<不整脈(2)>

 不整脈には脈が遅くなる「徐脈性不整脈」と、脈が速くなる「頻脈性不整脈」があります。その頻脈性不整脈の代表格が「心房細動」。心房の拍動数が1分間に70回前後が正常なのに、心房細動が起きると拍動数は350~500回と、細かく震えるけいれん状態になります。すると、突然「動悸(どうき)」に襲われます。それが「胸の痛み」を引き起こし、めまいも起こします。

 この状態になると、心房内では血流が滞るので血栓ができ、それが脳にとぶと重症の「心原性脳塞栓(そくせん)症」に結びつきかねません。脳梗塞を起こすと、社会復帰できる人が約33%、多少の介助を必要とする人が約33%、寝たきり・死亡が約33%という状態です。

 ただ、心房細動が起こっても約30%の人は症状に気付かないまま放置しています。ここは、もっと体のサインをしっかり受け止め、すぐに循環器内科を受診しましょう。

 この心房細動は異常な電位が発生することで起こります。発生源の約90%は左心房の後ろ側にある4本の肺静脈口とその周辺です。肺と心房とでは、動きの周波数が異なるので、つなぎ目部分にストレスがかかりやすいのです。

 ストレスがかかりやすい原因は「加齢」「高血圧性の心臓肥大」「心臓弁膜症」「甲状腺機能亢進(こうしん)症」の4つが考えられます。高齢化に伴い患者さんは増えている、ということは加齢が関係し、60歳を超えるとぐんと増えます。また、高血圧があると心臓が肥大し、心房、心室に負担がかかってしまいます。心臓弁膜症があると血流が逆流するので心房に負担がかかり、それが原因となります。そして、甲状腺のホルモンが異常に高いと、心臓が興奮しやすいことがわかっています。4つの原因の1つでも当てはまる人は、十分に注意する必要があります。

(取材・構成=医学ジャーナリスト松井宏夫)