<心筋症(2)>

 心臓移植の時によく耳にする疾患が心筋症です。この疾患は大きく「拡張型心筋症」と「肥大型心筋症」に分けられます。心臓の筋肉である心筋が薄く伸びきってしまうのが、拡張型心筋症。そして、心筋が肥厚してしまうのが肥大型心筋症です。

 拡張型心筋症は重症の心筋梗塞以外は、難病が原因として多い。心筋梗塞後であればどの年齢でも起こりますが、原因不明のケースは、40歳くらいで診断されるケースが多い。

 一方、肥大型心筋症は、高血圧や大動脈弁狭窄(きょうさく)症が原因で起きる2次的ケースを除き、心筋そのものの異常で心臓の壁が肥大化したケースをいいます。つまり、肥大型心筋症は、原因不明の疾患ということになります。20代の若い人から50代の人まで、幅広く発症しています。

 原因不明の肥大型心筋症は、左心室から血液が押し出されるところにある大動脈弁付近がより肥大化し、血液を流れにくくする「閉塞(へいそく)性」と、全体的に肥厚する「非閉塞性」とがあります。拡張型心筋症は遺伝的要因が少ないと言われており、肥大型心筋症は遺伝的要因が強いとされています。

 心筋症は、大きくはこの2つですが、それ以外に患者数は極めて少ないのですが、「拘束型心筋症」もあります。この拘束型心筋症は、問題となる左心室の壁、つまり心筋の厚さは正常なのですが、全体的に硬くなると共に、左心室の中が多少ではあるものの、狭くなります。こうなると、やはり心臓の機能を十分に果たせなくなってしまいます。(取材・構成=医学ジャーナリスト松井宏夫)