毒舌やブラックジョークと認知症の間に関係性があることを知っていますか?

 イースト・フィンランド大学神経学のエリーサ・ニューボーネン博士らの研究チームが、東フィンランドに住む平均71歳の高齢者男女、1449人を対象に、考え方が皮肉っぽい人と、認知症の発症率を調査しました。

 約8年間の追跡調査を行ったところ、考え方が皮肉っぽい人は、そうでない人たちに比べて、3倍も認知症が発症しやすかったとのことです。喫煙の有無や、コレステロール値の高さだけでなく、性格も認知症の発生にかかわることが明らかになりました。

 昔から、明るく健康的な笑いは健康につながるといわれてきました。最近では、笑うことで、ナチュラルキラー細胞という免疫細胞が活発に働き、体を守ってくれるという報告もあります。この結果から、あなたがもし、どぎついブラックジョークを思いついたとしても、それを明るく楽しいジョークに変換できるように試みるべきです。それができれば、認知症のリスクは3分の1になるかも…。

 毒舌やブラックジョークをよくする人は、皮肉って他人を傷つけようとしていて、自分はそんなに笑いながらしゃべっているわけではないのです。そのため、脳の一部だけを酷使しており、認知症になりやすいのです。誰かを傷つけるような笑いではなく、場をなごませる笑いを!

 また、認知症の原因で最も多い「アルツハイマー病」の予防対策として、よく挙げられる方法が幾つかあります。(1)人と接して会話を楽しむこと。1人暮らしで引きこもりの人など、対人接触が乏しい人は、アルツハイマー型認知症の発症率が8倍高くなると報告されている(2)1日1回以上、魚介類を食べる人に比べ、ほとんど食べない人は同型認知症の危険が5・29倍になる。これは魚に含まれているEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)によるものと考えられる(3)本を読む習慣のない人を100%とすると、本を読む習慣のある人の危険度は65%に減る。同じくチェスなどのゲームをする習慣のある人、楽器などを演奏する習慣のある人の危険度は20~30%に減る、などです。次回はちょっとびっくり!? の認知症対策をご紹介します。

 ◆森田豊(もりた・ゆたか)1963年(昭38)6月18日、東京都生まれ。秋田大医学部、東大大学院医学系研究科修了。米ハーバード大専任講師を歴任。現役医師として活躍すると同時に、テレビではコメンテーターのほか、「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)など人気番組の医療監修も数多く務める。著書は「今すぐ『それ』をやめなさい!」(すばる舎)「ダイエットはオーダーメイドしなさい!」(幻冬舎)「ねぎを首に巻くと風邪が治るか?」(角川SSC新書)など。気分転換は週2回のヨガ。