尿漏れ防止には、「うんこ座り(ヤンキー座り)」が効果的です。「ヤンキー座り」は、骨盤を下からささえ、ぼうこうからの尿を出口で絞ってストップさせる骨盤底筋を鍛えるのに効果的。さらに、腰痛もヤンキー座りで治ると考えられます。

 和式トイレを利用することが少なくなった生活様式によって、骨盤底筋が衰え、尿漏れが多くなったとも考えられます。ヤンキー座りをすることで、骨盤底筋だけではなく、背骨の周りの筋肉やインナーマッスルも強化することになり、腰痛予防にもつながることから私も実践しています。

 尿漏れ、頻尿を防ぐ運動もあります。私がお勧めするのは「骨盤底筋体操」。これは、表情を変えず、横にならず、ただ座ったままか、立ったままで、お尻の穴を「ギュー」と閉じるという動作を繰り返すのです。シンプルなように見えますが、このパターンが最も効果的。最初、表情が変わっても、だんだん慣れてくれば、仮にスタジオでの番組収録中でもばれません! 10秒締めたら、30秒休む。1日10回行います。男性も漏れている人が多いので、ぜひ練習してみてください。

 防止策は「パンツ」にもあります。おしっこをするときペニスの根元が上を向いていると、その部分に尿がたまってしまうことがあります。特に股上が浅いズボンなどでは、ペニスを引き上げるようにしておしっこするので「ちょび漏れ(尿道に残った尿でパンツがぬれる)」を起こしやすいのです。肌が密着する下着では尿道が上を向きやすく、そこに尿がたまって尿漏れの原因になることから、同じパンツでもトランクスよりブリーフの方が“危険”といえます。

 また女性の場合、ある“モノ”を使いすぎると尿漏れになりやすい、という報告がされています。「ハイヒールの履き過ぎ」です。ハイヒールは尿道を締めたり緩めたりする骨盤底筋が弱り、尿漏れを引き起こす可能性があるためです。

 女性が好きなものでいえば、「ワインは尿トラブルを悪化させる」ともいわれます。「アルコールの利尿作用で尿が増え、特にワインはチラミンという成分が交感神経を活発にし、尿トラブルを悪化させる」といいます。お酒の水分が即排出されているのではなく、尿を調節する「抗利尿ホルモン(おしっこを出にくくするホルモン)」の働きをアルコールが抑え、それでおしっこが出やすくなる、ということです。

 ◆森田豊(もりた・ゆたか)1963年(昭38)6月18日、東京都生まれ。秋田大医学部、東大大学院医学系研究科修了。米ハーバード大専任講師を歴任。現役医師として活躍すると同時に、テレビではコメンテーターのほか、「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)など人気番組の医療監修も数多く務める。著書は「今すぐ『それ』をやめなさい!」(すばる舎)「ダイエットはオーダーメイドしなさい!」(幻冬舎)「ねぎを首に巻くと風邪が治るか?」(角川SSC新書)など。気分転換は週2回のヨガ。