医師で作家の鎌田實氏の新連載「ピンピンひらり最新健康法」を展開中です。71歳の鎌田氏が、長寿時代の今、ピンピン健康に生きて、痛みや苦しみとは無縁で、ひらりとあの世に行きたいという自身の願望を込めて執筆。

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◆71歳医師の鎌田が生活を変え始めた

新型コロナ騒ぎで、世界を飛び回っていた生活から、自宅にいる時間が多くなりました。書斎へ資料を取りにいき、目についた他の書類を読んでいるうちに、自分が何をしにきたのか忘れてしまう。そんなことが時々起き始めました。俳優の名前が出てこないこともあります。そこでぼくは、前回お話ししたワーキングメモリーという、短期記憶から長期記憶の訓練をしています。

◆新聞を利用する

新聞を読むとき、単語を4つ覚えるようにしています。日刊スポーツから「美帆、菜那、佐藤」というキーワードを拾う。日本はスケートのパシュートが強い。あえて選手の名前を覚えます。「高血圧の人の新型コロナ致死率は8・4%」等も記憶します。大事なのは、この記憶を取り出すことです。友人や家族との会話の中で、記憶ボックスから取り出して使うことが大事。

クロード・ルルーシュ監督の名作「男と女」が、53年ぶりに続編公開となりました。音楽は変わらず、あの「ダバダバダ」のスキャット。作曲は誰だっけ?

◆認知症予備軍なら正常に戻れる

すぐに出てこないと一瞬ドキリとしますが、脳をいきいき保つための“よい警告”と前向きにとらえています。フランシス・レイと覚え直し、すぐに鎌田のラジオ番組「日曜はがんばらない」(文化放送)でアウトプットして使う。(ネットでも聞けます。ぜひ聞いてください)

軽度認知障害は半数が回復するのです。人の名前が出ないことがあるようになったら、それは認知症予備軍の警告なのです。新型コロナに負けないように。脳に刺激を与えることが大事です。