医師で作家の鎌田實氏の新連載「ピンピンひらり最新健康法」を展開中です。

71歳の鎌田氏が、長寿時代の今、ピンピン健康に生きて、痛みや苦しみとは無縁で、ひらりとあの世に行きたいという自身の願望を込めて執筆。

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第47回「『もう年だから』は認知症の始まりかも」

コロナ騒ぎの中で、運動不足や社会とのつながりが少なくなると、認知機能が低下してきます。自分の中でも認知症になりたくないと不安に思いながら、出てくる口癖があります。「もう年だから」、「いつ死んでもいい」。こんなことを言い出したら、昨日、お話しした認知症の初期症状「アパシー」の可能性があります。

◆「今の若いやつらは」

不平不満が多くなります。感情のコントロールをする前頭前野は、一時的な記憶の保管場所と同じ領域にあるので、短期記憶が低下すると同時に、怒りっぽくなります。認知症が始まる頃には、無関心やイライラだけではなく、柔軟性が失われていくことが多いです。

◆アンガーマネジメント

鎌田自身としては、できるだけ常に好奇心を持ち、無関心にならず、イライラせず、穏やかにいられるよう心がけています。アンガーマネジメントです。前にも述べましたよね、6秒ルールです。怒りのピークは、6秒。イライラした時は、「パタカラ運動」をします。口腔(こうくう)フレイルの予防です。「パタカラ、パタカラ」と繰り返しているうちに、なんとなくばからしくなってきて、怒りがおさまってきます。

◆「バカタレ」

は行、た行、か行、ら行、それぞれの口の周りの筋肉や、のどの奥や舌を動かす運動が計算されているのですが、同じ行を使う言葉があります。「バカタレ」です。ぼくも、「パタカラ」で怒りが収まらない時は、こっそり口の中で「バカタレ」を繰り返し、イライラが薄れていくのを待ちます。

「今の若いやつは」「あの頃は良かった」などと言うのはやめましょう。変な口癖は認知症の入り口、と鎌田は自分自身に言い聞かせています。