北里大学北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟氏が、「ウィズコロナ時代」のロカボ(緩やかな糖質制限)について解説します。ロカボの語源は「Low(低い) Carbohydrate(炭水化物などの糖質)」。新型コロナウイルスとの共生で新しい生活様式が求められる中、食事に気を付けながら、毎日楽しく食べて健康になりましょうと、勧めています。

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血糖値を上げるのは炭水化物の中から食物繊維を除いた部分である糖質です。

炭水化物、脂質、タンパク質の3大栄養素のうち、脂質とタンパク質、そして炭水化物でも食物繊維は、腸からインクレチンというホルモンを出させてインスリンの分泌を早めます。血糖上昇に対するブレーキ役ですから、どれも積極的に摂取すべき物になります。

糖質の多い食べ物は、ごはん、パン、麺類、イモ、カボチャ、大豆以外の豆類、果物、ジュース、お菓子類、砂糖…。こういった分かりやすい物以外では、ケチャップ、とんかつソース、片栗粉、くず粉なども多く、例えばごま豆腐は原材料にくず粉が使われているため、驚くほど糖質量があります。

糖質量がどのくらいかはインターネットで調べられます。文科省の「食品成分データベース」を開いて、ごま豆腐を検索すると、100グラム中、炭水化物が9・1グラムで食物繊維総量が1・0グラム。糖質量は8・1グラムです。これに対して木綿豆腐は炭水化物1・5グラム、食物繊維1・1グラムで糖質量は0・4グラム。絹ごし豆腐は炭水化物2・0グラム、食物繊維0・9グラムで糖質量1・1グラムです。ごま豆腐と木綿や絹ごしではかなり違うことが分かると思います。

ロカボ(ゆるやかな糖質制限)は、1食あたりの糖質の目安を20~40グラムにしています。おにぎり1個が糖質40グラムです。ごはんは茶わん半分(70グラム)で27グラム。食パンなら8枚切り1枚が20グラム、6枚切りだと1枚26グラムです。日本人は平均すると1食90~100グラムの糖質を取っていますから、初めての人は「エーッ」と思うかもしれません。

でもタンパク質、脂質は存分に食べられます。主食は少なめ、おかずはおなかいっぱい食べていいのがロカボです。

◆山田悟(やまだ・さとる)1970年(昭45)、東京生まれ。慶応大医学部卒。糖尿病専門医として多くの患者と向き合う中、カロリー制限による食事療法の限界に直面し、ロカボを提唱している。「糖質制限の真実」「カロリー制限の大罪」(ともに幻冬舎新書)など著書多数。