においをつかさどる嗅覚は、10代~20代が最も敏感といわれています。その後加齢とともに徐々に低下するため、家族や友人の年齢によって感じ方もさまざまです。かつて「おじいちゃん、お口くさい」という特徴的なコマーシャルがありましたが、これは若者の方がにおいに敏感であるという生理学的な違いを如実に表した、きわめて秀逸なフレーズといっても過言ではありません。実際のクリニックにおいても「孫に口臭を指摘されたが、配偶者は分からないというので一度診断して欲しい」といった相談は多いです。

口臭は主に、歯周病菌が代謝の過程で放出する揮発性硫黄化合物をはじめとしたさまざまな臭気成分でできています。大学病院、あるいは専門の医療機関ではガスの成分が分析できる機器を使って具体的な数値を測ることも可能ですが、口臭は「他人が不快と感じるかどうか」が重要な部分でもあります。このため、第三者が患者さんの呼気(吐き出す息)を嗅いで評価する「官能検査」を先に行います。ポリ袋のような検査袋を使用し、そこにためた呼気を複数人で嗅ぐというシンプルな方法です。相手に直接息を吹きかけて調べるわけではないので心理的なハードルが低い上に、自分自身でも嗅ぐことができるという点がメリットです。

男性と女性の嗅覚を比較した研究では、どの世代においても女性の方が鋭い傾向にあるそうです。また、嗅覚に影響を与える因子の1つに「喫煙習慣」があります。たばこを吸う人は吸わない人に比べて嗅覚が衰えているというデータが出ています。ご家庭あるいは職場など、自分のにおいについて気軽に聞ける環境にあるのであれば、非喫煙者の女性の意見を参考にするとよいかも知れません。