定位放射線治療の「ガンマナイフ」は、脳疾患の適用範囲を一歩一歩広げています。前回は「本態性振戦」を取りあげました。今回は「難治性てんかん」に対するガンマナイフ治療を紹介します。これは、現時点では保険適用ではなく、自由診療での対応です。

てんかんは100人に1人が発症するといわれている脳の慢性疾患。子供に多いと思われがちですが、どの年代でも見られます。発作を繰り返す疾患で、発作は大きく分けると「意識を失う発作」「意識のある発作」に分けられ、それぞれに多くの症状があります。てんかんは薬で60%はコントロールできますが、3年以上3種類以上の薬を使っても治らないのが、難治性てんかんです。

難治性てんかんに対して、よりてんかんの詳細を知るために東京女子医科大学付属足立医療センター脳神経外科及び同てんかんセンター(久保田有一教授)では、入院して行う「ビデオ脳波モニタリング検査」や「SEEG(定位的深部脳波検査)」を全国でも先駆けて取り入れ、行っています。てんかん発作の焦点を明らかにするもので、私たちはこれで初めて治療ができるかどうかの判断ができます。

難治性てんかんに対しては、原因となっている部分が特定できると「手術」でそこを取り除きます。また、手術が難しい場合は、神経を電気刺激する方法もあります。

現在、ガンマナイフで行えるのはどのタイプのてんかんでも良いというわけではなく、「内側側頭葉てんかん」「視床下部過誤腫」の2つのみです。適用となれば、患者さんの希望に応えられます。頭を切らないので、治療後すぐに社会生活ができます。しかし、細かな精査の上での厳密な適用診断が必要なので、まずはてんかんセンターにご相談ください。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)